ラブ・アゲインもアリなんです-6
でも、俺はコイツらにキレかかることはどうしてもできない。
それは力関係の問題では決してない。
お調子者だった俺は、典型的ないじられキャラだったけど、いじめとかそんな深刻なものでは決してなかった。
俺だっていじり返すこともたくさんあったし、いっぱい遊んで、笑って、本当に楽しい学生生活を送ることが出来たから。
だから、垂水達の言葉に悪意がないのは、俺が一番よくわかっている。
それだけに、雅さんへのほのかな想いを暴露されて、どうしていいのかわからなかった。
俺はいいんだ、俺は。
問題は雅さんなのだ。
彼女はすっかり俯いているけれど、髪の毛の隙間から覗く耳が真っ赤になっている。
ああ、相変わらずだな。
雅さんは昔から恥ずかしがり屋で、男子に話しかけられたくらいで顔が真っ赤になるほど、ピュアな女の子なのだ。
きっと告白なんかしたら、恥ずかしさのあまりに逃げ出してしまうかもしれない。
そんな彼女のことを思えば、友達から仲良くなるのが最善であるのは明らかで。
堂々とアタック出来ないヘタレの俺にも都合のいい展開だったのに。
「取手ー、ウジウジしてないで素直になれよ!」
「これ逃すともうチャンスはねえぞー」
横目で見れば、外野の冷やかす声が胸に突き刺さる。
そう、コイツらは無神経だけど、決して間違ったことは言ってない。
確かにこれを逃すと、雅さんと会えるのは、次の同窓会くらいになるんだ。
高校の頃と同じ、ただ見てるだけの自分でいいのか?
噛み締めていた下唇を解放した俺は、そのまま雅さんの向かいで、居住まいを正してから声を振り絞った。
「雅さん」
「…………」
「正直に言うよ。確かに垂水達の言う通り、俺は高校の頃、雅さんのことが好きだった」
その言葉に、雅さんは真っ赤な顔を上げ、その大きな瞳を潤ませながらこちらを見た。