ラブ・アゲインもアリなんです-3
憧れのマドンナの不意の登場に、ひっくり返りそうになるくらい、驚いた。
部屋に入った瞬間、俺は確かに雅さんの姿を探していたのに。
初見で雅さんの姿を見つけられなくて、てっきり遅れて参加するもんだと思っていたのに。
俺が座った席の向かいに、既に座っていた雅さんに、俺は鳩が豆鉄砲食らったみたいにポカンと口を開けていた。
「取手ー、久しぶりだな」
雅さんの隣に座っていた関くんが握手を求めてくる。
ああ、こいつのせいで、雅さんに気付かなかったのか。
昔から太っていた関くんは、久しぶりに再会して体格がさらにパワーアップ。
こいつが雅さんの隣に座っていたから、小柄な彼女の姿がすっぽり隠れてしまったのだ。
関や周りに挨拶をしながら座った俺は、改めて雅さんに挨拶をする。
「ひ、久しぶり。みや、雅さん」
やべ、噛んだ。
慌てて咳払いをする俺を、ニコニコしながら見る彼女は、あどけなさを残しつつも、大人になった色気のようなものを漂わせていて、思わず顔が熱くなる。
綺麗になったなあ、雅さん……。
高校の時も彼女は可愛かったけど、それに大人っぽさが加わった雅さんは、俺のタイプど真ん中だった。
相変わらずサラサラな黒髪ストレートに、色白な肌。
清楚な所は相変わらずで、俺は一気にテンションが上がる。
チラリと視線を移せば、メニュー表を一緒に眺めるツヨシと仙道さんの姿が。
ちくしょう、アイツ等ばかりいい雰囲気になりやがって。
その姿を見ていると、何かに後押しされるように闘志が沸き上がってくる。
高校の時は、とうとう勇気を出せないまま卒業してしまった。
あれからそれなりに恋をしたりはしたけれど、雅さんの姿を見た瞬間、積み重なった想いが一気に蘇ってきて。
よし、決めた。
同窓会というこのチャンス、絶対逃すもんか。
そんな闘志を胸に秘め、俺は雅さんに向き直った。