ラブ・アゲインもアリなんです-2
さほど広くないお座敷は、テーブルが2列にならんでいる。
奥側はすでに埋まっていて、主にこちらは目立つグループの、垂水(たるみ)を始めとする野球部グループや、とにかく男関係がド派手だった寺田さんのギャルグループが既に陣取っていた。
そして手前の列には普通〜大人しめグループのメンバーが。
みんなそれなりに大人になったから、スクールカーストなんてどうでもよくなったつもりだけど、名残はやっぱり残っていた気がした。
となると、俺はやっぱり手前側のテーブルか。
見れば手前側の奥に空きがあるので、そこに座ろうとツヨシを目で促すと。
「取手、オレは幹事だから注文まとめたりしなきゃいけないんだ」
横でツヨシが申し訳なさそうに手刀を切った。
そしてすぐさまもう一人の幹事であろう、仙道さんがスッと立ち上がり、申し訳なさそうに俺に頭を下げる。
ああ、そういうことか。
二人の様子に全てを察した、俺。
ツヨシと仙道さんはいそいそと、入り口に一番近い下座に腰を下ろす。
腰を下ろす瞬間の、どことなく鼻の下が伸びただらしないツヨシな顔。
そして、ちょっぴり頬を染めて、はにかむ仙道さんの顔。
間違いない、コイツらはできている。
もっとも、女兄弟に囲まれて育ったツヨシは、どこか乙女な所があって、色恋沙汰があるたびに俺にキャピキャピ報告してくる男だ。
それがないってことは、まだ恋にも発展してないってことだろうが、この二人を取り巻く空気がパステルピンクっぽくて、なんだかこちらまで気恥ずかしくなる。
あー、もう。勝手にやってくれ。
それだけでお腹一杯になった俺は、空いた席に向かうと。
「久しぶり、取手くん」
と、高くて細い控え目な声が、俺に向かってかけられた。