4-2
キンキンに冷えた麦茶をグラス二杯分飲み干してから、春斗は寝間着代わりのハーフパンツとシャツを着て、朱莉の元に戻る。
「寝ちゃったか……」
朱莉は寝息をスースーと立てて動かない。春斗はその隣に腰を下ろすと、肘を立てて寝ころび、片手で数回愛する存在の髪を撫でてから、完全に横になった。
「お休み朱莉」
そう言って目をつぶった瞬間、隣の朱莉ががばっと起き上り、春斗にのしかかる。
「まだ起きてるっ」
「驚かすなっ!」
「にへへー、春斗くん、大好きっ」
観念したように春斗は朱莉を抱きしめる。朱莉の方も腕を春斗の頭の下に回して、キスをする。
「ねぇ……このまま寝ていい?」
「はぁー……今回だけだからな」
春斗は深いため息をついてから許可を出した。
「うんっ、大好き」
許可を貰ってからいくばくもたたないうちに、朱莉は本当に寝息を立てて眠りについた。春斗は朱莉が眠るまで頭を撫でていたのだが、その対象が寝てしまってから、春斗の脳は睡魔の襲撃を受けた。負けるのは時間の問題らしい。
完全な眠りにつく数秒前、カーテンの隙間から見えた今夜の空は普段より星が綺麗だった気がした。