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お伽話「しゅがーの涙」
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お伽話「しゅがーの涙」-1

はるか昔―青い星の中に「すいーと国」という小さな国がありました。
この国の人達は甘いものが大好き!
その甘い物の原料となっている砂糖を作っているのはこの国に住んでいる「お砂糖族」。
この国の王様と砂糖族は仲良しで日々助けあって暮らしています。
そんなある日…王様とお妃様の一人息子のロール王子が重い病気にかかってしまいました。
お医者さんに看てもらった所
「これは甘い物の食べすぎで起こる病だ。…このままほって置くと死んでしまうかもしれん」
さてそれを聞いた王様は慌てました。
「治す方法は無いのか?」「今はもう幻となっている…ソルトという物を食べさせれば治るが…」
「ソルト…お砂糖族なら何か知ってるかもしれないな」

王様は今までの事をお砂糖族に話しました。
「僕が行くよ!王子は僕の親友だ!僕がソルトを取ってくる!」
王子と小さい頃から仲良しだった「しゅがー」が名乗り出ました。
「いいのか?しゅがー…」「うん!長老様!」
お砂糖族にはあるいい伝えがありました。
その中にはソルトを手に入れる方法もあります。
しゅがーはすいーと国を旅立ちました…

山を越え川を船で渡り西の魔女の所へやってきました。
「あなたが来た理由は解っていますよ。ソルトを手に入れる為にはあなたの命が必要です…」
「解っています」

いい伝えによるとお砂糖族は魔女に魔法をかけてもらいソルトになると言われています。
ただし命と引き換えに…

「ではソルトになる為の言葉を決めて下さい…その言葉を言った時あなたはソルトになるでしょう」
しゅがーは魔女の耳に囁きます。
「その言葉ですね…では魔法をかけましょう」
魔女に魔法をかけてもらったしゅがーはすいーと国へと戻ってきました。

「おお!しゅがー!ソルトはあったか?」
「はい!王様!今から王子を治すのでみなさんは部屋を出ていって下さい」
王様達は訳もわからず部屋を追い出されました。

しゅがーはそっと王子に近付きます…
「さよならは言いたくないよ。また…会えるよね?だから今まで言えなかった言葉を言わせて?」

しゅがーの目から一粒涙が流れました。
「…ありがとう」
その言葉を口にした時しゅがーは涙に溶け混み王子の口の中へ流れ込みました。
「…しゅがー?」
目を冷ました王子は部屋を捜し回ります。
「王子!良くなったか?」「父さま!しゅがーは?しゅがーの声が聞こえたの」「さっきまでここにいたのに…」

しゅがーはそれきり姿を見せませんでした。
行方を知るのはお砂糖族だけ…
しゅがーがいなくなった頃、お城の花壇に一輪の花が咲きました。
不思議な花で花粉の代わりにしょっぱい粉を出すのです。

王子はその花にソルトと名前を付けました。
助けてくれた誰かの涙と同じ味がしたから…
ソルトは砂糖と同様国の名物になり、小さな国は大きな国になりました。
王子と同じ病になる者ももういません。

王子はいつまでもその花を大切に育てました。


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