〜 始業式・講話 〜-2
今更変態じみた行動に驚いたりはしない。 私たちは誰ともなく片手を膣に添え、小陰唇を割り拡げる。 ブリッジした腰をつきだし、檀上に向けて、指先でビッチリ皺を伸ばす。
学園長と呼ばれた女性はマイクを握り、
「僕から特に伝えることはありません。 以上」
とだけいうと、そのまま壇を降りた。
戸惑いはある。 てっきり挨拶というか、講話があると思っていた。 ただ、話がないといわれて、私は妙に納得した。 学園という絶対的支配下にある私達は、指示に服従する以外の道がない。 全てが絶対的な『命令』のみだから、きっと、語るべき言葉も見つからないんだろう。
「全校生徒、元の体勢になおれ」
「「……」」
ここで全員が第1姿勢に戻った。 必死に胸をはって上向きにした乳房と乳首が並ぶCグループに、着衣の下からポツポツと勃起した乳首が透けるA・Bグループ。 どちらにしても下品であるが、下品さの中に品格の一端が見て取れる。
「生徒指導部長より、訓戒を頂きます。 一同、略礼」
「「……」」
ぐい、たゆん。
略礼がどういう意味かなんて考えない。 とにかく先輩を真似するしかない。 Bグループ生にならい、緊張で固くなった両乳首を摘まむ。 そのまま号令に従って『略』で乳首を真上ビンビンにひっぱり、『礼』で真下カンカンに下ろす。 どこがどう『略礼』なのか知らないが、私は乳首を涙がでるほど強く摘まんで、千切れるくらい激しく乳房を揺すった。
「おはようございます。 まず在学生へ連絡です。 衛生管理の不徹底から、感染症を発症する生徒が増えています。 免疫系、凝血系、循環器系が強化されているとはいえ、お前たちのベースは全変異に対応しているわけではありません。 ウィルス、菌類の侵入を防ぐためにも、日々の予防を欠かさないように」
眼鏡をクイとあげる、偉そうな教官。
「つづいて新入生に連絡です。 学園の諸規則は生徒手帳に列記していますから、すべて暗記してください。 単純な指示から補習、補講、補導まで様々な指導があります。 その全てが首輪に記録され、将来の進路設計や学歴に影響します。 ゆめ規則に背くことのないよう。 学園の規則は上下関係と別の次元でお前たちを拘束します。 忘れないように」
そして、クルリと踵を返す。
始業式の講話といえば、休み明けに特有の『生活習慣を作れ』だとか『忘れ物をするなだとか、低い次元の指示しか知らない。 それはそれで退屈なものの、さっきみたいに竹を割ったようなコメントを耳にすると、あの素直な幼年学校が恋しくなる。
「続いて、進路指導部長より訓戒を頂きます。 一同、略礼」
「「……」」
生徒会長の号令に合わせ、再び乳首を摘まむ。 ブルンブルン、膨らみかけた乳房を彼方此方で揺する。 二度目なので、躊躇うクラスメイトは一人もいない。
「おはようございます。 学園で精進する目的は、最低限の素養をみたして次のステップに進むことです。 社会人になるにしろ、中途退園で就職するにしろ、大学院に進むにしろ、素養として最も重視されるのは学園に登校することです」
演台に昇った教官は、若くて綺麗な教官が並ぶ学園としては、比較的年配に属していた。 薄い化粧の下には、たるんだ皺が垣間見えるし、プロポーションも抜群なのだが、どこか張りに乏しい気がする。 声も若々しいというよりは、嗄(かす)れた分だけ落ち着きがあった。
「規定にはありませんが、皆勤できない生徒は怠惰で性根が腐っているとみなします。 希望の推薦、指定校、就職斡旋は有り得ないと考えてください。 殿方の学力は、同年代であったとしても、お前たちと比較にならないレベルであらせられます。 殿方と同様に社会にでる以上、はるかに知能で劣るにしろ、せめて体力、気力は水準を充たしましょう」