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【スポーツ 官能小説】

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〜 日曜日・雑談 〜-1

〜 29番の日曜日 ・ 雑談 〜




 食堂には先客がいた。 B22番先輩と22番さんだ。 2人は並んで腰かけていて、B22番先輩はランチボックスのフライドポテトを摘み、22番さんはコールスローを匙で掬っている。 食堂といえば、床に這って皿に舌を伸ばしたり、椅子代わりになってブリッジしたり、先輩の膣に詰め込まれた食事を舐める場所だった。 普通に食事をとる2人の姿は、ただそれだけで驚きだった。

 食堂に入ってきた私達に、B22番さんが手招きする。 戸惑うものの、先輩がB22番先輩のところに向かったので、私も後ろからついていく。 途中で中央テーブルに並んだランチボックスをとると、先輩はB22番先輩の正面に腰かけた。 何も言われなかったので、私も22番さんのように先輩の隣の椅子に座る。 叱られるかな、と緊張したものの、先輩は気にしていないらしかった。

「やほー。 お疲れ様です」

 B22番先輩は、さっき砂場で会ったときと比べ、どことなく艶めいている気がした。

「私たちは今さっき終わったとこだけど、『にに』たちは?」

「大分前です。 1時間くらいは、ここでボーっとしてますから」

「誰のチェックにした?」

「寮長です」

「うわっ、きっつ……なんでまた寮長?」

「このコが『高い所が苦手』だっていうから、寮長の所が面白いかもって思ったんです」

 そういうと、B22番先輩は隣で静かにしている22番さんを顎で指す。 俯いたままの22番さんが恨めしそうに顔をあげた。 泣いた痕跡を隠す気すらない、真っ赤に張れた瞼と充血した瞳だ。

「ちっとも面白くなんかないです……もうダメだって、諦めてました」

「もしかしてあっさりクリアしちゃったら、それはそれで問題なんです。 ある程度は困って貰わないといけなくて、どうせなら面白い方がいいと思うのは当然です」

 胸を張る22番先輩に、ほうと吐息をつく先輩。

「だからって普通はイヤキチしないよ。 失敗したら『にに』自身も大変なのに……ところで寮長のチェックポイントって、なんだったっけ、えーと」

「『屋上ダイブ』です。 3階の屋上から思いっきり飛び降りて、飛び込み台用プールにザブーンって感じのヤツです」

「ああ、アレかぁ。 結構キツイやつだよねえ。 上手く水に入らないとすごく痛いし、思いきりよくジャンプしないとプールまで届かないし。 リアルに大怪我する可能性バリバリじゃない、アレってさ。 その点寮監のところだったら、覚悟さえ決めれば絶対怪我しないもの。 『屋上ダイブ』だけは、私だったら怖くて却下」

「『にに』的にはテキトーに飛ぶのは得意なんで、あんまり怖くなかったです。 でもまさか、目隠ししてやらされるとは思ってませんでした」

「め、目隠し? そんなことされたの? 寮長に?」

「はい。 このコがタラタラしてたんで、ちょっとハッパかけただけなのに、寮長ってマジ大鬼(おおおに)です。 『規則を破った責任をとって、2人分の覚悟をみせなさい』っていわれました」

 組んだ手の甲に顎をのせ、

「予定ではカッコよくジャンプする筈だったのに、お蔭でちょっぴり取り乱しちゃいました。 さすがに目が見えないと、ちょっとブルっちゃって。 後輩が見てるっていうのに、『にに』的には最悪でしたね。 カッコ悪くて嫌になっちゃいます」

 ふうっ、溜息をつくB22番先輩。 と、黙っていた22番さんが小さい声で呟いた。

「ちっともカッコ悪くなんかないです……もう私、なんてお礼したらいいか……。 あの、本当にごめんなさい、私なんかのせいで……」

「だから〜、謝らないでいいんです。 もう何回も言ってるのに、まだ言うんです? もっと物分りいいコだと思ってました」

「うう……でも……」

 22番さんが口ごもる。 1週間同じ教室で過ごした私をして、初めてみる姿だった。 教官がふる無茶な質問にも堂々と答え、過酷な指示にも率先して行動するのが22番さんだ。 キビキビと、はっきりと、潔かった22番さん。 彼女は私の目の前で、私と同じように赤い瞳を潤ませている。

「よかったらさ、詳しく教えてよ。 『にに』たちにした寮長のチェックってどんな感じだった?」

 先輩が身を乗り出す。

「いいですけど、次は『ニック』が話す番になりますよ」

「全然かまわないよ。 多分つまんないけど、それでいいなら」

「つまんないのは『にに』も一緒だと思いますけどね。 聞きたいなら、別に隠すつもりもありませんし。 とりあえず、砂場で別れてから、私とこのコで校舎にいくことにしたんですよ」

 残り少ないフライドポテトをガサガサしつつ、B22番先輩が語り始めた。 私が砂に埋まってトイレ以下まで自分を貶めていたとき、B22番先輩と22番さんがどんな風に過ごしていたか。 私以外の新入生がどんな風に過ごしているのか、興味は尽きない。 私は先輩方の何気ない話に、こっそり耳を欹(そばだ)てた。




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