〜 日曜日・模範〜-2
「もう……知らないよ。 それじゃタイトルは『中古』で」
「ハイ!」
間髪いれず返事をする22番。 すぐに砂場に蹲り、その場で股間に両手を伸ばす。
「んんっ」
始まったのは激しい自慰だった。 前と後ろから伸ばした手で、クリトリスと肛門を同時に弄っている。 すると30秒もしないうちに、ピッ、22番の首輪が明滅し、
ぷしっ。
真下に勢いよく透明な液体が迸った。 絶頂に伴う潮が砂に滲みこんで広がってゆく。 そうしておいて、今度は砂に仰向けに寝そべると、腰だけを激しく上下させ、股間を砂にぶつけはじめた。 時々思い出したようにギュッと股間を砂に押しつけ、クイクイと力を込めてくねらせる。
一頻り繰り返してから起きあがった22番は、
「ありがとうございます!」
元気よく笑顔でこちらを向き、両手を股間にあてがった。 両陰唇を左右にビッチリ拡げれば、ムササビのようにくぱぁとなった襞が露わになる。 そこは本来のピンク色が見る影もなかった。膣全体が灰色の砂に塗(まみ)れ、達した潮に纏わりついた砂が塊をつくる。 ごわごわで薄汚れた大切な場所が、そこにあった。
「お〜。 やるじゃない」
B29番先輩が頷いている。 私には全く見せなかった首肯の仕草だ。
『中古』という『芸』……何となく私にもわかった。 つまり、砂でもって『使い古されたチツマンコ』を表現し、それをもって『中古』に見立てている『芸』だ。 単に砂を膣に塗りたくるだけの芸だけど、そこに自慰や腰ふりが挟まっている。 もしもそこに工夫があるのなら、私には絶対思いつけないだろう。
「これって合格です?」
「当たり前。 これでダメなら、一体誰が合格するのって」
「む〜。 そりゃそうなんですけど」
「優秀って噂はホントらしいね。 『にに』、よかったじゃない。 まともな後輩ができて」
「こっちの予想を超えられると、正直イラってなるんです。 『ニック』のとこの新人みたいに、ダメっぽい方が楽しそうでいいと思います」
「そう? なんなら取り替えてあげようか? 寮長に申請すれば後輩くらい選ばせてくれそうだけど。 『にに』は寮長のお気に入りだし、この段階なら聞いてくれるんじゃないかな。 私もあのコに興味あるし、交換に遠慮はしない方向でいこうよ」
「あ〜……いや〜、そういうのは結構です」
「ほらみたことか。 やっぱり優秀な方がいいんじゃない」
「優秀優秀ってしつこいです。 ダメなところも見せてくれないと、本当の意味でお気に入りになんかなれないんです」
私の頭上で交わされるBグループの会話。 聞くともなしに聞いているが、先輩たちも22番が少し違うことは知っているらしい。 優秀という表現には素直にうなずけないけれど、私たちみんな22番がスゴイとは思っている。 ただ聞いていて寂しかったのは、これって、深読みすれば『30番(私のこと)はダメ』と言われているような……いや、深読みしなくても、そういうことだろう。
と、砂場で股間を拡げた姿勢を保持して待っている22番に、B22番先輩が声をかけた。
「22番」
「ハイ!」
「一発目はOKってことなので、次は『にに』直々にタイトルをあげます。 きをつけ」
「は、ハイ! ありがとうございます!」