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【スポーツ 官能小説】

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〜 土曜日・競技 〜-3

「このくらいですかね……あ、えーと、生徒会長のA0番です」

 ペコリ。 2度目のお辞儀。 

「すいません、挨拶とか苦手で……。 きっとみなさんが思っていた部活内容と、学園での部活は違います。 紹介をみて、よくわからなかったことも、戸惑ったこともあるんじゃないですか? もしかしたら、部活って大変そうだなあとか、自分にできるかなあとか、不安に思った人もいるかもしれません。 でも、部活がすっごく楽しいことは、みなさんに知ってもらいたいので、最後まで聞いてくれると嬉しいです」

 ペコリ。 3度目のお辞儀。
 
 それにしても聞こえ間違いだろうか? 『部活が楽しい』と聞こえたような……?

「私は学園が大好きです。 特に部活は、どの活動も好きすぎて、結局1つに選べませんでした。 だから、いろんな部活を裏方からサポートしたくて、生徒会に入ったんですが……特別にすべての部活の末席に、今でも名前を入れて貰っています」

 伏し目がちに言葉を紡ぐ姿は、いままで前にたって喋った教員や他の生徒会とは明らかに違う。 無機質で冷たい前者と違い、会長の言葉には、たどたどしさ以外でも、何か違う。

「Cグループの間は、本格的な活動はできません。 というより、させてはもらえません。 部活の下仕事を教わりながら、先輩が練習する場を支えるのが下級生の役割ですよね。 例えばテニス部だったら、みなさんの『汚まんこ』でボール拾いばっかりです。 立って拾いにいくなんて、頭が高いから絶対ダメですよ。 叱られちゃいます。 しゃがんでいくのもダメ、四つん這いもダメっていわれて、私は、うーん、匍匐前進みたいにですかね。 ずりずり、コートにへばりついて拾いにいきました。 それでも時々叱られましたけど。 アーチェリー部なら、1年間はずっと『的』です。 『汚けつ』にスパンと矢が刺さった時なんて、お尻が一日中ヒリヒリして、特に、あの、く、クソをひるたびに、えーと、その……ケホン」

 咳払いを1つ。

「すごく……痛くてドキドキします……」

 排泄について話すくだりでは、見ただけでわかるくらい、恥ずかしそうに頬が赤らめる。

「華道部では、下級生は花器役に決まっているんですけど、私は身体が固くて……それで綺麗な花器になるために、バネ付のギブスで身体を固定してもらいました。 肩や顎が外れたりして、部員のみなさんに迷惑をかけてしまいましたが、みなさん暖かく私に花を活けてくれました。 自然愛好会には特にお世話になりました。 お魚さんの水替えでは、普通はもとの水を捨てるんですけど、特別に全部飲ませてもらっていました。 そうした上で水槽に残ったフンを舌で頂けば、出したものすべてを綺麗に出来ると思ったので……そんな私のわがままも、みなさん、気持ちよく聞いてくれました。 量が多くて大変でしたが、呑むのが遅くて、昼休みをギリギリまで使う私に最後までつきあってくれました」

 シーン……水を打ったように鎮まる体育館。
 紹介の途中においても、何度も静かになってはいたが、一味違う静寂だ。

「どの部活もすごく大変で……だから、活動するだけで『汚まんこ』が濡れてしまって、ああ、私生きているんだなあって思えて、すっごく楽しかったんです。 学園の授業も楽しいですが、同級生や先輩が中心になって活動できる部活には、全然違う楽しさがあります。 一生懸命取り組めば取り組んだだけ、友達もできるし、色んな事が分かるし、大変だからこそやりがいがあります。 あまり先入観はもたず、まず、精いっぱい取り組んでください。 そうしないと大切なものは見えないです。 何より、一生懸命じゃないと楽しめないと思います。 結局1つの部活に絞っていない私がいうと、説得力かもですが、あの、えーと、嘘をいっているつもりはないんです。 だ、騙されたと思って、明るく楽しく、えっと……あー私、何言ってるんだろ〜〜すいませんっ!」

 ペコリ。 頭をさげるのは4回目だ。

「と、とにかく楽しい部活にしましょう! 困ったことがあったら、私たち『生徒会』がいつでも何でも力になります。 あの、見たとおり頼りない会長ですけど、他のみなさんはしっかりしてますので。 み、みなさんの健闘を期待します。 ご、ご清聴ありがとうございました!」

 一際深くお辞儀する会長。 

 パチパチパチ……!

 みんなが大きな拍手を送る。 部活が紹介されるたびに送ってきた拍手。
 ただ、私は手を叩きながら、膨らむ違和感を抑えきれない。 てっきり生徒会や部活や学園のすべては、生徒が無理強いされる範疇だと思っていた。 いや、今でもそう思っているのだが、会長はもしかしたら違うんだろうか? 自分から進んで学園の体制に参加するような、そんな生徒が存在するのだろうか? 会長にとって、学園生活は本当の意味で『楽しい』んだろうか? もしもそうなら、一部の生徒にとっては、本質的な意味で『学園は善』といえるんじゃないか?

 纏まらない思考をかき消すように、

『以上をもちまして生徒会主催、部活紹介を終わります。 長い間お疲れ様でした。 担任の先生方、どうぞよろしくお願いします』

 放送が流れる。 タイミングよく12号教官が前から指示を下す。 私たちは牧羊犬に追い立てられる羊のように、揃って起立し、1組生徒の号令に合わせて礼をする。 そしてHR教室に戻るべく、体育館を後にしたのだった。




 


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