GoodMorning,Darling!-4
「…俺さ、何でノリと別れたかというと、…怖かったんだよ」
「え?」
突然で意外な告白だった。
「俺、ノリの事本当に本気で大好きでさー、俺は幸せで堪んないけど、ノリはどう思ってんのか全然わかんないから不安だったんだよ。いつか他の男ンとこ、行っちゃうんじゃないかってさ…、不安だった」
「………」
「だから、俺は不安から逃げるために恋愛関係を解消した。変な理論かも知れないけど、そうするしか思い付かなくてさー」
「……本当、変なの」
私の声が微かに震え始めているのがわかった。
「ノリが幸せになるのを邪魔したくなかったんだよ。俺以外の男と幸せになるのをさ」
「…………」
「怖かったんだよ。俺じゃノリを幸せにできないかもって。ノリは俺の事を好きじゃいてくれなくなるかもってな」
涙が、止まらなかった。
私の事を想うあまり別れてしまったなんて、ユウはなんて臆病で、なんて優しいんだろうか、と。
「でもやっぱノリが好きでさ、離れられなかった。側に居たかった。だから…、体だけの関係だけだったらなんとか続けているかなって思ったんだ。…あんまり良い話じゃないけどな」
「ほん゛どに゛ね゛…」
「ノっ、ノリ!?泣いてんのか!?」
私が泣いているのがばれてしまった。
私はズビビっと鼻を啜った。
「ごめんな、ごめんな、ノリ!俺、酷い事言ってたよな!?な!?本当ごめん!ノリ!」
必死に謝ってくるユウが私にはなんだか嬉しくて、ますます泣いてしまった。
「つまりだな、俺はノリに幸せになって欲しいんだよ!別にイヤミとか、そういうつもりで言ったんじゃないんだよ!」
「わ゛がっでる゛…」
私もユウもテンパってしまっていて、感情をどう表現していいかわからない。
私は泣きじゃくるばかりで、ユウはあたふたするばかりだ。
「あ゛れ、嘘」
「…何が?」
「好きなひど、い゛る゛ってゆ゛うの」
「………………本当に?」「…ほん゛ど」
堪らなくなった私は、ユウに抱き着いて、エンエン泣いた。
みっともないけど。
「ユウのばかたれえ゛ぇー。ぞう゛いう゛事は、ち゛ゃんとゆ゛ってよ゛おぉぉ〜」
「あっと…、えっと……、ごめんな、ノリ」
優しい手つきで頭を撫でてくれるユウを、私はぎゅうっと抱きしめた。
ユウの胸に顔をうずめて、また私はわんわん泣いた。
「んん……」
外からの光で、私は目が覚めた。
昨日泣きながら寝入ってしまったらしく、頬の辺りがカピカピしている。
「……んふっ」
隣で寝ているユウの嬉しそうで、疲れ切ったようで、なによりマヌケで無防備な表情に、思わず吹き出してしまった。
また、ユウと心も体も通い合っていけると思うと、私は素直に嬉しかった。
今度こそはどんな事があっても、ユウの側に居よう。ユウが私に幸せになって欲しいと願うなら、私はずっとユウの側に居ればいいだけだ。
これから先、一緒に過ごす時間が今から楽しみで、私はまた思わず微笑んだ。
眠っているユウの耳元で私はそっと囁く。
また一緒の時間が始まる挨拶を。
「おはよう、有哉」
〜END〜