交際-1
ちゅんちゅんと、いつも耳にする小鳥の鳴き声が今日は余計ハッキリと聞こえる。
私は隣に歩く人を、顔を赤く染めチラッと視線を移す。
「……。」
「………。」
肩を一緒に並べて登校するその人は昨日の夜、私に告白をしてきた人だ。
いつものように何を考えるでもなく自宅を出るとそこに佐伯君が待ち構えていて。
何を言うでもなく「やぁ!」と手を挙げ、共に学校へ向かい。
一瞬驚いたけど、後々嬉しい…という感情が湧き出て来て、「若いって良いよなぁ」と
でもいわんような、ニヤけた祖父をバツ悪そうに放って置いて、妙な視線が背中につつかれつつも、家を後にし。
お互いに会話が無く、普段の朝が妙に重い。
私より背が高い彼、と言っても歳の放れた兄妹のようにかなりの身長差がある訳でもなく
ドーナツ店のトレイ一つ分の差があるくらいで、顔も丸くジャニーズの山田○介さんっぽい感じ、彼が大きいのではなく私が小さいだけで。
「今日は、良い天気…だね…。」
「あ、はっはい、そうですね。」
どうやら緊張してるのは私だけではないようで…。
私の隣にずっと好きだった彼が居る、とても嬉しい。今にでも両手で腕を掴み横顔を
くっつけたい衝動に駆られる。
彼を、今すぐにでも抱きしめたい。
でも、私にそんな勇気も度胸もなく…。
「あ、あのっ!」
「うん?」
「も、もうーそろそろ…ですよね、ま…まつ。」
「そうだよなー、もうじき迫ってるもんなぁー、巴のバレー試合。」
「……そう、ですよね。」
「応援してやんねーとなっ!」
「えぇ、まぁ……。」
もうじきお祭り…って言おうとしたのに…。
「?どうしたんだよ…。」
「いいえ、楽しみですわね。」
「?」