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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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交際-6

「はぁ……。」

溜息を天井に向けて吐き出す俺。

どうしたんだろうな、この俺が何時までも悩み続ける…だ何て。

学校の階段を昇り、2階へ着き、そこでも床に視線を落とし続け。

そうこう落ち込んでいると…。

「キャーーッ!」
「!!?」

聞き覚えのある悲鳴が向こうから耳にし。

「あーらぁ、ゴメンなさぁーい、かかっちゃったぁー?」
「………。」

床に尻もちを着く柊さんの前にガラの悪い女子二人組が立ち塞がり。

「有難う御座います、水浴びをして下さって。」
「バーーカッ!!だから違えっつってんだろっ!」
「そんなぁー、ご謙遜を。」
「っ……。」

柊さんの、最強天然っぷりに押され気味のブス女二人。

「良いか?お前みたいなクズ女、あたる様が本気で好きになる訳ないっつーの!」
「そーそー、彼からしてみれば単なる遊び、どーせすぐ捨てられるから♪」
「…ではその時は道端に段ボールで拾って下さいと。」

何だか会話になってないような気が。彼女は二人の口撃に全く動じていない、と言っても
それはあくまで会話上だけの事。俺は見逃さなかった、彼女の弱り果て怯えた横顔を。

俺は、怒りの炎をあげ、ツカツカと前へ出る。

巴が去り際に言ってくれた。

「何かあの子が哀れに感じたから一つ情報をあげる。あの子ねぇ、最近知らない女の子に
絡まれてるんだって。」

まさか、「うちのあたる様」って。

俺は何をやってるんだろうか、彼女の事分かってる…って、全然分かってないじゃねーか

一人で勝手に納得して、彼女の苦しみにまるで気付いてやれない何て…。

「てめー!いい加減にしろよっ!」
「どうやらもっと水浴びをした方がいいなっ!」

そう言ってペットボトルを振りかざし、目を瞑る彼女にかけようとする…、しかし。

「え?」
「……。」

俺はその汚い腕を乱暴に掴み、そしてそのまま。

「きゃあーーーっ!」
「うっ、内野!」

コイツ、そういう苗字なのか、まぁどうでも良いけど。俺は案の定ソイツの頭に逆にその
液体を頭から掛けてやった。

「さ、佐伯君?!」

俺の思わぬ登場に驚きを隠せない柊さん。

意中の人に液体を掛けられてあたふたする女、それを隣でどうにかしようと同じくあたふたする友達。

「いい加減にするのはそっちの方だ。」
「あ、あたる様…。」
「はっ!いつお前らの物になったんだよ。」
「そ、それは……。」

先ほどまでの勢いが嘘のようだ。

「ち、違いますよね?あたる様がこんな奴と。」
「いや、違わないし、俺は彼女を本気で愛してる。」
「嘘っ!何でこんな女に。」
「おい……これ以上その口を開いて見ろ?一生学校を通えなくするぞ…。」
「う、うちのあたる様。」

もうこれ以上こんな場所に居たくない、俺は半ば強引に、腕を伸ばし柊さんの肩を掴み
外へ去っていく。



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