百合の香水-4
「わたし……」
「うん?」
先輩が小首を傾げてわたしを見返す。
あぁ、ほんとうに綺麗なひと。
先輩、わたし……あなたが──。
「優しくて穏やかで、色白で……細身のひと、ですかね……」
──苦しい。
でも、嘘はついていない。
先輩は優しくて穏やかで、色白で細くて綺麗で素敵なひと……。
わたしは胸が圧迫されるような息苦しさを感じながら、そうなんだと微笑む先輩に笑顔を返した。
「やっぱり優しいひとがいいよね。わかるわ。詠美ちゃんは誰かとキスとか、したことある?」
「キス──いえ、な、ないです」
「そうなんだ。わたしもなの。一緒ね。周りの友達はみんなキスしたことがあるっていうから、ちょっと気になっちゃって。変なことを聞いてごめんね」
「いいえ……全然、問題ないです」
どきりとしながら、先輩もキスしたことがないということにホッとした。
「それじゃあ……ねぇ、わたし、詠美ちゃんにキスしてみてもいい?」
「え……えっ?」
「したことがない同士、今日経験しちゃわない?」
先輩がいたずらっ子みたいに笑って言った。
わたしは軽くパニック状態だった。
先輩とキス!?
そんな、まさか──。
「わたしで……いいんですか?」
「もちろん」
頭がパンクしそうだった。こんなことが起こるなんて。
先輩がわたしの頬に再び手を触れる。
ドキドキする。
心音が先輩にまで聞こえてしまうんじゃないかと心配になった。
唇が触れ合った瞬間、身体の内側で何かがことりと動いた──ような気がした。
「せん……ぱい……」
「これでもうわたしたちもキスは経験済みね」
先輩がわたしのおでこにこつんとおでこをあてる。まるで、母親が子どものお熱をはかるときみたいに。
頬に触れていた手が離れる刹那、わたしはその手を掴んで先輩にキスをした。
先輩は避けなかった。
唇を離してすぐにもう一度キスをする。今度はねっとりと、先輩の唇を唇で撫でるように。
先輩の唇が震える。
吐息を感じる間も無く、わたしはその唇の隙間に舌を捩込ませた。
「んっ……」
舌が触れる。
撫で上げるようにゆっくりと動かすと、先輩の舌がそれに応えるように動いた。
握った手を先輩が握り返す。
わたしは空いている右手で先輩の脚に触れた。
ミニスカートから伸びる脚。正座を崩して座った先輩の細い太ももに手を這わせる。
にわかに、ぴったりと閉じられていた先輩の脚が開いた。
わたしは先輩の舌に舌を絡めながら、身を乗り出して先輩のミニスカートの中を弄った。
「んっ、んっ──」
ショーツの中に手を滑り込ませる。
茂みを指で掻き分け、先輩の敏感なところに指を這わせる。
先輩がため息とともに小さく震えた。
驚いたことに、先輩のそこはしっとりと潤っていた。
レロレロと先輩の舌の裏を舐めながら、ゆっくりと中指と薬指を上下させる。
先輩のくちから甘い吐息が零れた。
それはますますわたしを刺激し、わたしは夢中になって指を動かした。
「あっ……あんっ──んっ、んっ……」
中指を先輩の蜜壺にぬるりと差し入れる。
ゆっくりと動かすと、くちゅくちゅと先輩の蜜壺から卑猥な水音がした。
「んっ……んんっ……はぁんっ……」