同窓会は恋の予感!?-4
「今月末の土曜日、休んでいいぞ」
「へ……?」
ポカンと口を開けて社長を見れば、薄い唇をキュッと上げてイタズラッぽく笑っていた。
「その日の音声は外注するから平気だよ」
「で、でも俺がいなきゃ……」
「バーカ。お前の代わりなんていくらでもいるっつーの。つーか、むしろ外注の方が腕がいいと思うぜ? お前の音声な、女の子のあえぎ声が遠くなる時があんだよ。丸木様の撮影でミスされたらたまったもんじゃないからな」
背後で傳田さんの噴き出す声が聞こえる。
「それに、主役は遅れて登場だ? お前が主役って柄かよ。せいぜい主役のイケメン君の友人Aってとこだろ。友人Aは最初から同窓会にスタンバって主役の登場を盛り上げてやんなきゃダメだろ」
「…………」
辛辣な言葉を俺にぶつけてくる社長に、涙が出そうになる。
たまらず俺はガタッと席を立ち、社長のデスクにツカツカ歩いていき――。
「うわーん、だから社長大好きッスー!!」
と抱きつくのだった。
「おい、キモいっての」
慌てて俺の身体を引き剥がそうとする社長だけど、それより強い力でしがみつく。
わかってんだ、社長の優しさ。
ニヤニヤしながらハガキを眺めていた俺の気持ちを読み取って、さらに俺が休んでも罪悪感を持たないように、ああやってけなすような口振りをする。
ストレートに優しさを出せない、不器用な社長を本当に俺は尊敬している。
照れ隠しだろう、傳田さんに聞こえないように、
「ゆっくり羽伸ばしてこい」
と、耳元で囁いた社長の本音に、不覚にも胸がキュンと鳴るのであった。