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二十歳の約束
【幼馴染 官能小説】

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1-4

 マナブにスマートフォンを返しながら、わたしは硬い表情をして遊ばれてるのかなぁと小さな声で言った。
 マナブは何も言わずにわたしの頭をぽんぽんと撫でると、行くぞと振り返りながら言った。
 ふわりと男物の香水が香った。

 細道を抜け、公園の脇を通る。
 毎日のようにマナブたちと遊んだ公園。
 あの頃のマナブは華奢で色白で、よく女の子に間違われていた。
 幼稚園とか小学校へ通っていた頃、大柄で粗暴な男の子にマナブがからかわれたときはいつも、わたしがヒーローになってマナブをかばっていたっけ──。

 わたしはそっと隣を歩くマナブの腕を見た。鍛えられ、太く逞しくなっていく腕。

「マナブ、明日時間作れる?」
「ジムのあとでいいなら」
「連絡する。ほんと鍛えるの好きね」
「女に間違われることなんてなくなるだろ? 俺、ヒゲも薄いしあんまり生えないからさあ。昔は“マナちゃん”なんて呼ばれてからかわれていたぐらいだし」
「髪の毛もさらさらで綺麗だし、女子からは羨ましがられていたけどね」
「嬉しくねぇなー。いっつも那月にかばってもらってたしなぁ、俺」
「今、そのときのことを思い出してた。わたし、負けん気が強くて力も割と強かったからなあ」
「西浦とケンカして勝ってたもんな」

 そうそう、と顔を見合わせて笑う。
 わたしは校内の乱暴者に負けたことはなかった。くちでも、殴り合いでも。
 学年の違いなんて関係なかった。マナブを困らせるやつは片っ端から黙らせていった。

 懐かしい。
 昔はほんとうにマナブといつも一緒だった。
 中学も高校も同じところに進学した。
 大学も同じ。
 それなのに、いつから一緒に遊ぶことが減ったんだろう。

「お前、ほんとあの先輩と別れろよ。いい噂聞かねぇからなぁ、あの先輩」
「心配してくれてるの?」
「そりゃ心配もするだろ。困ったら言えよ。昔守ってもらっていた分、今度からは俺が那月を守るからさあ」
「ありがと、マナブ」

 コンビニの眩しい光がマナブの顔を照らす。照れたような、怒ったような横顔。
 かっこいい。そう、思った。


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