I was wrong, please forgive me.-6
「乃恵ちゃんは幼稚園からミッションスクールに通ってたからじゃないかな」
「ミッションスクール?」
「うん」
だからか。
「でも、普通はあそこまで純粋に信じないだろ?」
「それは俺には何とも言えないな。でも彼女は純粋なんじゃないの?」
純粋すぎるだろ!
「なんで、この大学にいるわけ?」
「なんでもそろそろ社会に出る前に社会勉強がてら共学を選んだって」
「はぁ?ずっと女子校?」
「らしいな」
納得がいく。
あの、何も疑わないような純粋さ。
愛を信じていますと普通に公言しちゃう純粋さ!
「何?心配?」
山田が、相変わらずの含み笑いで酒を飲んだ。
「あれさ、男にだまされるだろ?」
「かもな〜。でもそれも勉強なんじゃないの?」
は?
それも含めて、勉強って事?
「心配なら岡部が守ってあげたら?」
「は?」
なんで俺が・・・
「彼女、見るからに子羊ちゃんだもんなぁ」
だろ?
「ほら見てみろ!2年のやつが下心を隠そうともしないで近づいて行くぞ!」
あのやろ・・・
「乃恵ちゃんに、ここを抜けようって誘ってるんじゃねぇか?」
ニヤニヤしながら山田が乃恵と2年生を見つめた。
「乃恵!」
俺は思わず、サークルのメンバー全員に聞こえるような大きな声をだした。
「帰るぞ!」
俺を見て、俺の言葉を聞いて、
今まで乃恵を誘っていた2年のやつが一歩引いた。
俺が女の子の名前を呼ぶのが珍しくてサークルのみんながじっと見ている。
にっこり笑って
「はい」
と立ち上がった乃恵は、ご丁寧に自分を誘っていた2年生に
「お先に失礼します」
と挨拶して、小走りに俺の横に駆けてきた。