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冥土の土産
【熟女/人妻 官能小説】

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冥土の土産-1

1.
「舌にピアスなんかつけて、食事するとき痛くないのかねえ」
「男のアノ先っぽに付ける人がいるそうよ」
 テレビの画面を見ながら、なにやら際どい話が続いている。

「刑務所は暇でしょう、包皮の裏をカミソリで開いて、真珠の玉を入れるヤーさんがいるんですってよ、一度味わった女は別れられなくなるんですって。」
「あたしの粘膜なんかデリケートだから、きっと駄目ね。普通のがいいわ。一寸雁高で、頭がクット曲がっていたら最高」
「まあ、律子さんのご主人のお話し?」
「残念でした。でも死ぬまでに一度味わってみたいと言う話し、どうなの裕子さんは?」
「そりゃあ、あたしだってねえ。財産残して死んだって・・・、冥土の土産にいい想い出が出来るなら、お金に糸目はつけないわ」

 伊豆の海岸を見下ろす高台に立つ、高齢者リゾート施設、スカイライン・ガーデンのリビングルーム。
 一般に、高齢者施設と言っても、24時間介護の公営特別擁護老人ホームから、高級ホテル並みの有料施設まである。
 スカイライン・ガーデンは、まだまだ健康で遊びたい盛りの50歳以上の入居者を対象にした、温泉付きの高級マンションである。
 仕事中毒の夫が過労で早死にしたり、子供の手が離れ、退職と同時に離婚をしたり、夫の遺産や離婚慰謝料で億単位の財産を手にした後家さん貴族の入居者が多い。

 世間的には高齢者の仲間入りをしたつもりが、いざその立場になってみると中々どうして、風呂場で鏡に写る己が素肌は艶々と張りがあり、風呂上りのベッドでは、火照る股間につい指を滑らせ、今は亡き夫との房事に夜毎想いを馳せる。

 毎週金曜日は、ゲームデーと言って、3時のお茶会の後でゲームを楽しむ。
 マージャンをしたり、カードをしたり、ピアノに合わせて合唱をしたり、カラオケに興じたり、時には慰問のボランタリーの訪問を受けたりする。その中で特に人気のあるのが、ダンスである。
 
 若い頃に馴染んだジャズや流行歌にあわせて、ステップを踏む。
 入居者の中の、学生時代にダンスを習ったという橋爪豊が、先生役を務めている。
 
 橋爪豊は、時代の寵児、産業戦士を自認した仕事中毒であったが、65歳の定年と同時に妻から離婚を申し渡され、このリゾートの入居資金だけを手元に、家、財産の殆どを妻に渡して分かれた。
 娘、息子は既に独立して、孫も3人いる。よほどのことがない限り親のところには寄りつかず、夫々が勝手に暮らしている。現役の時から家族からは浮き上がっていたので、独居生活になってもさほど寂しさも感じず、気ままな生活を楽しんでいる。



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