冥土の土産-10
13.
丘の上の、古代遺跡らしい建造物の隙間を縫って朝日が差し込んでくる。
朝食には未だ早い。
「律子さん、ちっと耳を掻いてくれないかなあ?」
「いいわよ」
律子は、ベッドの上で、バスローブの前を開いて、膝を揃える。
豊は、ノーパン、すっぽんぽんの膝の上に、頭を乗せた。
「あたし、これ好きなのよ」
耳が腿の肉に押されて痛いので、腿の間の隙間にずらす。
子供の頃、母親に掻いて貰ったのが癖になって、豊は特製の銀造りの耳かきを、いつも手元に置いている。
「あああ〜いいい〜気持ち好いよ、律子さん」
耳かきが何時もの壷に届くと、背筋に快感が走る。
律子は感がいいのか、豊が口をきかなくても一寸頭を動かすだけで、痒いところに耳かきを持っていく。
「ねえ、先生、立たなくても私先生大好きだから・・・」
「うん」
「痛かったら言ってね」
「うん」
僅かに汗ばむ膝の肉に、頬を摺り寄せる。
ジョリッと頬を擦る恥毛が、隠微で心地好い。
腿に廻した腕を伸ばして、尻を探る。
「律子さん、好い女だねえ」
「えっ」
いつの日にか、この女に耳を掻いて貰いながら、三途の川を渡るか。
(ごきげんよう)