グァテマラの珈琲-3
「あなたの淹れる珈琲、好きよ」
そう言った彼女のために、キッチンを借りてわたしが珈琲を淹れた。
白と黒を基調とした、スタイリッシュな印象の部屋に珈琲の香りが広がっていく。
「ありがとう。ほんとうに丁寧に淹れるのね」
L字型のソファーに腰掛けた彼女が、にっこりと微笑んで珈琲を飲む。
「そこ、座ってね」
ソファーは座り心地がよく、なめらかで高価そうだった。
珈琲を飲んで、彼女を見る。
目が合った。
「ほのかちゃんの髪って、パーマ?」
「はい。もともと中途半端なくせ毛なので、パーマで誤魔化しています」
「そうなんだ。柔らかそうで、可愛いなって思ってた」
「わたしはレイカさんみたいなさらさらの髪、憧れます」
「そう? 嬉しいわ、ありがとう」
ふいに、レイカさんがわたしの顔周りの髪に触れた。
「うん、やっぱり柔らかくていい感じ。パーマ、いいなあ。ほのかちゃんのふんわりした雰囲気によく似合ってる」
ドキドキする。
顔が赤くなるのを気付かれたくなくて、わたしは目を伏せて言った。
「でも、わたし……鈍くて愚図で役立たずなんです。レイカさんみたいにきりりとした雰囲気の女性に憧れます。わたしにはないものばかりをお持ちで、格好良くて素敵だなっていつも思っていました」
「ふふ。ありがとう。でもそんなに自分のことを悪く言わないで。わたしはあなたのことをいいなって思ってるんだから」
「レイカさん……」
レイカさんの指がわたしの頬に触れる。
ピリッと、胸の奥で何かが弾けたような感じがした。
ジャケットを脱いだレイカさんの肩はわたしの肩よりもずっと華奢でか細く見えた。
「ほら、笑って。あなたの笑顔はわたしの元気の源よ」
「はい。レイカさん」
レイカさんの指がわたしの頬をゆっくりとくすぐるように動く。
淡いパープルの爪が綺麗。
指がゆっくりと唇のほうへ降りてくる。唇をなぞるようにいったりきたりする指。
わたしはふわふわとした気持ちでレイカさんを見つめた。レイカさんもわたしを見ている。
レイカさんの指が唇の端で止まった。
わたしはその指に舌先をあてた。
レイカさんの指が中に入ってくる。
わたしは歯を当てないように注意しながら、その指を舐め続けた。
「ほのかちゃん……」
レイカさんが指を抜くと、わたしの頭を両手で支えるようにして舌でわたしの唇を割った。
舌と舌が絡みつく。
わたしは膝と膝をこすり合わせながら、レイカさんの胸元にタックの入ったホワイトのカットソーをたくし上げた。
「レイカさん……綺麗……」
「ほのかちゃんも脱いで」