セックスの意味-5
『んん……』
ついに田所さんが陥落したように、ツトムくんの身体に腕をまわしながら、自らもキスを求めていった。
こうなれば、もう大丈夫。
女は自分の身体を晒すことに、勇気を必要とするらしい。
男の理想が好き勝手を言っていて、その意見をネットなんかで簡単に知ることができるから、グラビアアイドルやAV女優みたいな完璧な身体以外は受け入れられないと考える女の子は多いらしい。
だから、セックスに至るまではなかなか抵抗があるのだろう。
そんな女の子をリラックスさせるのが、恋人の役目なのだ。
田所さんはホントに綺麗な身体をしているけれど、世の中には身体に自信のない女が大半だ。
それでも、愛する彼のために、恥ずかしい部分までさらけ出してくれるのだから、男は全部受け止め、愛の言葉を囁くべきなのだ。
「お腹が出てる」とか「毛深い」とか、間違っても言うなよ?
批評出来るほど、自分の身体は完璧なのか?
等々、外見重視の人間どもに言ってやりたい。
愛があれば、許容の限度はあれど、パートナーのコンプレックスだって寛容になれるはず。
そういうのをひっくるめて肌を重ねる、それがセックスの意味だと思う。
『ああ……はあっ……』
みるみるうちに彼女の顔も身体も紅潮していき、吐息混じりに甘い声が段々大きくなる。
ツトムくんは、そんな彼女の身につけるもの全てがもどかしかったのか、スカートも、ショーツもあっという間に脱がせてしまった。
「うーん、パンツは時間をかけて脱がせて欲しかったんだがなあ」
「仕方ないさ、初めてだし余裕がないんだろう? だからカメラワークを変えて、なるべく田所さんの股を映さないで、徐々に映るように撮ったんだぜ」
「へえ、さすが井出」
撮影チェックをするときは、それなりに興奮はするけれど、どうしても仕事モードになってしまう。
被写体ももちろん大事だが、カメラアングルや照明のあてかた、音声の拾いかたの方にばかり意識が行ってしまう。