セックスの意味-10
「身体を捧げると決めた女は強いんですよ」
傳田にディスプレイを見るよう視線で促されれば、ツトムくんが再び腰を動かし始めていた。
『んっ……』
唇が真っ白になるくらい噛み締めて、激痛を堪える田所さんに、思わず腰が引ける時もあったけど、その度に彼女がギュッと彼にしがみついて離さなかった。
まるで、片時も離れたくないと言わんばかりに。
そうこうする内に、ツトムくんも初めて知った一つになった時の気持ちよさに、腰を動かすリズムが少しずつ加速してきた。
『ああっ……』
『ごめんな、千鶴……。でも、ダメだ。気持ちよすぎて……』
『ツトム……気持ち……いいの?』
『ああ。もう引き返せないくらいヤバい。お前の身体、すげえいい』
『……ん』
『これで、お前をオレのものにできたんだよな。嬉しいよ』
言われた田所さんは、堪えていた表情が微かに緩む。
痛くとも、最愛の人からかけられる思いやりのある言葉や、重なる肌の温もりや、抱き締められている安心感。
きっとこれらが緩衝材になるんだろうな。
涙を流しながらも嬉しそうに微笑む田所さんに、
「やっぱ初めては好きな人とするのが一番だよな」
と、俺は無意識の内に呟いていた。
『んんっ……はあ……ん』
ずっと唇を噛んでいた田所さんだったけど、ややもすると、それが緩んで、隙間から色気のある声が漏れだしてきた。
『あっ……、ああっ』
次第に表情も、さっきの愛撫されていた時の艶っぽいそれに変わっていき。
『あん……い、いい……』
結合部から響く、イヤらしい音に、田所さんが女の悦びを知りつつあることに気付いた。
それはツトムくんも気付いたらしいが、あえて口にするような野暮な真似はしない。
代わりに、打ち付ける腰のリズムをやや激しく、交わすキスをより深く淫らに、彼女の胸を少し強引に揉みしだき、本能のままに彼女を求めていた。