オナニーをしていたら-1
昨夜、童貞を捨てた僕にとって、世界は完全に違っていた。
オトコになったせいで何だか自信にあふれ、学校で女の子がそばにいても以前ほど緊張しない。
クラスメイトの男子の大半は童貞だろうから優越感も持てる。毎晩、彼らが自分のチ×コを擦って必死にオナニーしている姿を想像すると、笑いさえこぼれてくる。
僕の初めての相手は、メイドの冬月美緒さんだった。
冬月さんはロングの黒髪のすごい美人だ。
スタイルも抜群に良くて、父の仕事関係で家に来るお客様は必ず冬月さんに見とれてしまう。すれ違えば必ず振り返る。
僕はまだ17歳だし、美人というよりは可愛い系の人が好きなんだけどね。
きっかけは夜、部屋のベッドで、オナニーをしている時だった。
「東城寺さん! 東城寺さん!」
クラスメイトの東城寺七瀬さんで、チ×コを擦っていると、人の気配を感じた。
あせって目を開けると、紅茶を持ってきた冬月さんが立っていた。
あわてて下着とズボンをはこうとしたが、ちょうど高まってた時だったので、思いきり精液をぶちまけてしまった。しかも冬月さんの顔に。
「うわあぁ!」
冬月さんの顔から滴り落ちる白濁の液を見て、僕は立ち上がり、ティッシュ箱を探した。
「明彦様、それには及びません」
冬月さんは紅茶をサイドテーブルに置くと、ポケットから自分のハンカチを取り出し、表情も変えずに欲望の液を拭った。
部屋にはあの精液独特の生臭い匂いが漂っている。
「冬月さん、本当にごめんなさい!」
下半身をむき出しにしたまま頭を下げる僕に冬月さん平然と言った。
「いけませんね、明彦様。今はまだ十時、勉強に励んでいなくてはならない時間です」
「……そ、そうだね」
僕の股間のモノはだらしなく垂れ下がっている。
「しかし、明彦様くらいの思春期まっさかりの男の子が性欲を抑えられないことは、よく存じ上げております」
「……そ、そうなんだよね」
苦笑いを浮かべて頭をかく。
どうやら冬月さんは見て見ぬふりをしてくれそうだ。勉強をサボってオナニーをしていたことが父さんにバレたらメチャクチャ怒られる。
「しかし、明彦様が虚しく自慰行為をおこなうなどあり得ない話ですわ」
「?」
「明彦様は大河内家の跡取りなのですから、性欲処理をお望みの時は、私たちメイドに申しつければいいのです」
「えっ……?」
言っている意味がわからなかった。
ちなみに僕は大河内家のひとり息子で、<大河内ホールディングス>という日本を代表する企業の次期社長になると言われている。
「明彦様、庶民の男がおこなうような自慰行為などおやめ下さい。明彦様ほどの身分の方なら、性欲など、当然、外で処理されていると思っていたのですが、違うのですか?」
「えっと……」
冬月さんは何か勘違いしているようだけど、僕は童貞で、キスもしたことがないし、学校では恥ずかしくて、女の子とほとんど口をきけない。
困惑していると、冬月さんが驚いた顔をして尋ねた。
「もしかして、明彦様はまだ……?」
コクコクとうなずく僕。
「あり得ませんわ、そんなこと!」
「だって、女の子と関わる機会もないし、僕はまだ高校生だし」
冬月さんは僕を買いかぶり≠キぎている。
ちなみに僕は仮性包茎気味なので、現在、肉棒はすっかり皮かむり≠オている。
冬月さんは青ざめた顔で部屋を出ていくと、しばらくしてまた僕の所に戻って来た。
「今、お父様にお話しして了解をいただきました」
「えっ、父さんに話しちゃったの?」
「お父様も明彦様が未だに女性を知らないことを憂慮され、私に筆下ろし≠フ相手をするようにおっしゃいました」
「筆下ろしーーーっ!」