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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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俺と付き合って下さい!-7

公園にある川に、ゆっくりと歩む俺らが映し出される。

「申し訳ありません、こんな真夜中にお呼びたてをしてしまい…。」
「あっ、いいえ!俺も、丁度時間余ってた物で。」

何かしこまってるんだ俺。相変わらず客に接客する女将みたいな口調だ。お蔭で反射的に
写ってしまったではないか。

「今宵は…お月様が三日月様でございますねぇ。」

彼女は緊張するとこう…詩人みたいに変貌するのか?

「…あの時は、本当にありがとうな。」
「はい?申し訳…ありません、私、貴方に何かしましたっけ?」

覚えてない…。と言うか知らないんだな、君があの夜、八百屋のお爺さんと共に仕事で
遠出をした時、路地裏で酒を口にしまくってグデングデンに泥酔しただらしのない中年男
が、実は俺の親父である事を…。

頭上に?マークを浮かべ、天然を見せる彼女に事情を話す事に。

「まぁ!何と言う神様の悪戯でしょう!まさか、そんな事が…。」
「だから、本当に。」
「いえー、でも私は、別に、何も…ただ発見して救急車をお呼び立てをした次第で。」
「ただ呼んだだけじゃないだろ、その後、風邪を引かないように服を貸してあげたり、到着するまでの間、色々と励ましてくれたそうじゃないか。」
「……。」

困惑するように、地面に視線を下げる。

「では、それを期に私にタックルをしたのですか?」
「タックルって…、まぁ正しくはそれで白黒ハッキリした、つーか。」
「?」

だぁーもぅ!どうしたんだ、俺。別の女とはこんなに動揺何て。それ程彼女が特別…とでも言うのだろうか。

「俺はきっと、君でないといけない気がして…。」
「……。」
「柊さんはさ、俺の事、好き?」
「!!」

唇をガッチリと閉じ、瞳を大きく開け、俺の方を見上げる。

「それって、貴方は私の事を…。」
「……。」

言葉は出さない、本当に大切な事ならば、いちいち声をあげる必要は無い。

「……。」
「………。」

瞬き一つせず、返答を待つ俺。返答を慎重に考える彼女。

そんな俺らに関係なく、北風が二人の間を透き通る。

「ありがとう…。」
「え?」

包み込むような笑みを浮かべ。

「こんな私を、好きになってくれて。」
「それじゃー。」
「不束者ではございますが、どうか、宜しくお願い致します。」

深々と頭を下げ出す彼女。全く本当に面白い人だなぁ。

「ふふ、…何だか少し肌寒いですね。」
「そうかぁ、じゃー。」

俺が行動に移そうとすると、彼女は両手をパタパタさせ、何かを拒否する。

どうやらこの前のバス停で、上着を貸してあげたから、また同じ事をしてくれるんだと
思ったようで。

…確かにそうしようと思ったけど、急に気が変わった、その替わりに……。

「わっ、ななな何をっ!?」
「……どう?寒くない?」
「あ、あ、あ。」

俺は、上着を差し出そうとした手を引っ込め、上着の代わりに俺自身を上着代わりにして
震える子犬のような彼女を優しく抱きしめた。

俺たちはもうただの友達じゃない。

これで晴れて恋人同士だ…。

三日月型の月が、俺と彼女を温かく見守っているような気がする。

第10話に続く。


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