不思議な出会い…-2
ガシッ…
「あれ?」
「ふぅ。危なかった…。」
あれ?アタシ助かったの?
「大丈夫か?」
「あ、うん。一応は…」
そこには、中性的な顔立ちでなかなか格好いい人がアタシの肩をしっかりと抱えていた。
「怪我は?」
「多分大丈夫。助けてくれてありがとう。」
「どう致しまして。」
そう言うと、その人はニッコリと笑った。
トクン……
なんて分かりやすい感情と擬音なのだろう……
「あ、あの……」
「何があったの梓?大丈夫?」
「葵?」
「怪我も無さそうだし、俺行くわ。じゃあな。」
「ありがとう…」
「梓どうしたの?大丈夫?何かボーッとしてるけど?」
「あ、うん、大丈夫。ちょっと踏み外しちゃって。」
「そういえば、そこで擦れ違った人は?」
「助けてくれた人……」
「………ふふ。恋したな?」
「ふぇっ!?な、何言ってんの!」
思いっきり核心を突かれて変な声を上げてしまった。
「隠さないの♪何年一緒にいると思ってんの?分かりやすい易いんだから梓は♪でどうなの?」
「うん……何か格好良かった……それにあの人の笑顔見たら何かこう…胸がキュゥって……」
「それが恋なのよ!」
そうなのか?でも、あの笑顔は反則だよなぁ…
「とりあえず、ラブレターは私が片付けてくるから待ってて!」
「ちょっと葵?」
そう言って葵は屋上へと走って行った。
『素敵な人でしたね……』
『え!まさか…桜も?』
『あ、あの…えっと……そのぅ……はぃ……』
『確かにあの笑顔は反則だよな…』
『でも、名前とか聞けませんでしたね……』
『そうだった……梢なら分かるかも。梢、名前分かる?』
『………』
『…梢さん?』
『梢?』
『あ、ごめん。聞いて無かった…』
『まさか……梢まで?』
『えっ!…うん……』
『…マジで?』
こんな所にライバルが二人もいるとは…
「ただいま!送り主には梓には好きな人がいるからって言っといたから!」
「ち、ちょっと何言ってんの!」
「何で?好きな人出来たんでしょ?そうだ!告白はどうする?」
「でも…多重人格とか言っても信じてくれないだろうし……」
「信じる信じないは向こうが決めること!大丈夫。梓ならきっと大丈夫。」
「でも…好きになったのアタシだけじゃないし…」
「まさか…梢と桜も?」
「笑顔にやられたみたい…」
「う〜ん。どうしようか?………だったら、三人で告白してみれば?」
「えぇ!でも……」
「…もう!いつもの梓はどうした?そんなんじゃ彼を他の娘に取られちゃうし、折角の恋も終わっちゃうよ?逃げるな!」
「うぅ……。」