2話 自分勝手-2
二人が帰った後の木の下には、親戚の子を血眼で探していた陽大の姿があった。
「晴菜…あんなこと…」
陽大は鮮明にその時のことを覚えていた。
勇樹と晴菜は、今陽大自身が座っているベンチで最初口づけを交わしていた。
そして、勇樹は晴菜の小柄な体をこのベンチに倒し、馬乗りになったかのように晴菜に長い口づけをする光景を陽大は思い出していた。
陽大のペニスは勃起していて、今にも射精してしまいそうな勢いで膨張している。
近くのトイレに駆け込んだ陽大は制服を脱いで全裸になる。
勇樹と晴菜は部活中は付き合っていることなど微塵も思わせないような様子でテニスに取り組んでいた。
その様子を思い出した陽大はより興奮した。
普段とのギャップ。
晴菜は、大人しく、少し男勝りで面倒見が良く、陽大も少し気になる女性であった。
そして何と言っても中学1年生とは思えない、発達した胸。
テニスウェアを着ていると増々強調される晴菜のそれは、同級生の男子生徒の下品な会話の中心であることが多くあった。
陽大の同級生の男子は、一度は晴菜のバストを直接見て、触って、という願望を抱くものもいるに違いない。
しかも普段、男のように頼もしい性格の晴菜が、女の表情で勇樹とキスをし、あのたわわな乳房をなされるがままにされていたという事実は、陽大が射精するための卑猥な妄想には十分な素材であった。
陽大のペニスを擦る右手の速さは止まることを知らなかった。
「は、晴菜っ!」
晴菜の名前を口にだし、陽大は絶頂を迎える。
陽大の精子は便器にかかるように向けられていたが、勢いは激しく、便器の外、壁に大量に射精された。
「ハァッ…ハァッ…」
晴菜の乳房を自由にできるのは、彼氏である勇樹の特権であり、陽大が同じことをやれば、社会的に失墜し、晴菜は軽蔑するだろうと考えると、自身の叶わぬ願望からあふれる、無気力感に陽大は苛まれていく。
あの時、ベンチで晴菜の乳房を自由にしていたのが、自分の両手であったら、どんなによかっただろう、と陽大は妄想に耽った後、その場を後にした。