カランコエ-3
ランチの時間になり、今日もフロアもキッチンも慌ただしい戦場と化し、目の回るような忙しさだった。
「鰆のムニエル、お客様に大好評でしたよ! タンシチュー残り五食オーダー済みですから、本日のランチも計二百五十食、完売です!!」
フロアチーフの弾みのある朗報がキッチンに響いたのは、ランチの時間を終える三十分前の事だった。
「やっ…た…。鰆、完売…」
チーフの声を耳にして、プレッシャーから一気に解放されて、へたりこみそうになる私に、
「ヒカリ! 気い抜くんじゃねえぞ! まだ昼が終わるまで三十分あるからな! 佳那汰! 冷蔵庫に残ってるハンパな鰆で賄い支度しとけ!」
「はい〜っ!」
「はい」
那由多に激を飛ばされて気を持ち直し、鍋やフライパン等、調理器具の片付けに入ると、瞬く間に昼の部の時間が過ぎた。