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紡ぐ雨
【SM 官能小説】

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志津絵-9

明け方近くになって、交番に梅林がやって来た。
酔っていたため丈太郎の事情聴取が遅くなり、結局名前や住所がわかって連絡がついたのが明け方だったのだ。
相手はこのあたりのやくざ者だろうが、殴られた丈太郎本人がよく相手の特徴を覚えていなかった。
交番から連絡が行き、梅林の家まで警官が知らせに行ったのだった。梅林はパトカーに乗って彼を迎えに来てくれたのだ。
二人で警官に頭を下げ、始発電車を待って家に戻った。
電車の中で何があったのか聞かれたが、丈太郎はただ「すみません」と頭を下げ詳しいことは話さなかった。
戻った丈太郎の顔を見て志津絵は驚いて短い悲鳴を上げた。
顎と頬が大きく腫れ上がり、痛々しく赤くなっていた。
水に濡れたタオルを用意してくれ、顔に当てておくように言った。
「私は少し寝るとしよう。椙田君も寝なさい」
そう言って寝室へ入って行った。
丈太郎は頭を下げると2階へ上がって行った。
「大丈夫ですか?警察が来たときには本当に驚きました」
志津絵は押入れから布団を出すと、敷いてくれた。
薄い寝巻き姿の彼女は、カーデガンを羽織っていたが胸のふくらみがはっきりとわかった。
「すみませんでした」
「もう、いいのよ。とにかく無事でよかったわ、何かあったら実家のご両親に申し訳が立たないもの」
親のことを言われると、丈太郎はまた情けなくなって涙が出てきた。
「……あのことを気にして、出て行ったの?」
「いえ」
「私が言ったことを気にしているのね。ごめんなさい、あなたを責めたわけじゃないのよ」
「もう、いいんです。僕が悪いんですから」
上着を脱ぐと、シャツに血が付いていることに気づいた。殴られた時のものだろう。あの時は汚れにも気づかなかった。
「脱いでください。洗います。放っておくと落ちないから」
仕方なくボタンをはずし、脱ぐと志津絵に渡した。
「丈太郎さん」
志津絵は彼の手を取ると、自分の胸にそっと触らせた。
「志津絵さん。やめてください、次はもう、僕は抑えられなくなります」
「あなたは、勘違いしているのよ」
「え?」
「私はあなたの周りにいるような女じゃありません。私は……どこかおかしいのでしょう。だからきっとそんな私の本性を知ったら、あなたは私を軽蔑するでしょうね」
「意味がわかりません」
「そうね」
志津絵はそう言うとカーデガンを脱ぎ、寝巻きの腰紐を解いた。
豊かな曲線を描く裸体が、目の前に晒された。
「志津絵さん、何を」
「いいの。先生もわかっているの……だから、先生はいつもあなたのような若い人をこの家に置きたがるのよ」
「え?」
志津絵は丈太郎を布団に寝かせると、膝枕をした。
大きな乳房が、丈太郎の真上にあった。
俺は、変な夢を見ているのかも知れない……。

 


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