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運命という名の恋
【女性向け 官能小説】

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タクシーに乗り込んで家に向かった。
「由紀右手を見せて」と言った俺に
始めは躊躇して「平気です」と言っていたけど
「見せて」としつこく言うと、おずおずと出してきた。

手首をゆっくりと撫でて
「鎌田さんを思い切りたたいたんだろ?痛くないか?」
と心配した。

「ごめんなさい」

小さく言ったその声に笑って
「平気だよ。明日出社しても、武勇伝になってるさ」
そう言うと、恥ずかしそうに顔を伏せた。

「しつこいのは我慢できたんですけど。
声をあげれば誰かが助けてくれる事も分かっていたんですが・・・」
「うん」

俺は由紀の右手首をさすり続けた。

「柳下さんの悪口だけは許せなかったんです」

「そうか」

それ以上俺たちは何も話す事が出来ずに
マンションの前で止まったタクシーを降りた。

「何もしないから。湿布だけ貼らせてよ。
落ち着くまでコーヒーでも淹れるよ」

俺は苦笑いしてそう言った。





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