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運命という名の恋
【女性向け 官能小説】

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-1


「柳下です。素晴らしい演奏会でした」

そう言って握手を求めるために右手を出せば
相手の握り返してきた手はかなり力が入っていた。

その握力で確信をした俺は、次の瞬間に
さりげなく、花束を渡した後の上杉さんの右手を握った。

ほんの少しびっくりして俺を見上げた視線に応えるように視線を返せば
上杉さんがニッコリ笑った。

「じゃぁ先輩。私はこれで」
「あ・・・上杉。打ち上げに行かないか?」
「ありがとうございます。でもこれから彼とご飯を食べに行くので」

そう言って軽くお辞儀をして歩き出した上杉さんの肩をつかんで
「お誕生日おめでとう」
とそいつは言った。

え。誕生日なのか?

「ありがとうございます」
俺の手をつないだまま、そいつに笑いかけて
次の瞬間には俺に向き合って、行こう。と笑いかけた。

それから少し歩いて、いつもと変わらないようなお店に入って
食事をして、久しぶりの雨の降っていない夜に気分がよくなって
二人で山下公園を歩いた。
桜木町に抜ける駅までの道で上杉さんがぽつりと

「彼だなんて言っちゃってすみませんでした」
と、話し出す。
「いや。それより。誕生日なんだ?」
「はい」
「おめでとう」
「ありがとうございます」



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