Rainy day-1
「──んっ」
ユーヤの舌がわたしの敏感な部分を激しく愛撫する。
お風呂上がりのほてった身体から立ち昇るにおいに、ユーヤもわたしも熱に浮かされたように荒々しくキスを繰り返した。
「美咲さんの帰りが遅いから、俺……気が狂いそうになっちゃいましたよ」
「んっ……あっあぁんっ……ごめんね、急に仕事を頼まれちゃって……んっあんっ」
「もっと喘いでくださいよ。もっとえろい顔を見せてください。ほら、これ、気持ちいいんでしょ?」
「あっあぁっあんっあんっんんっ」
抓られた乳首も舌を捻じ込まれた耳もすべてがユーヤの呼吸に合わせて反応する。
ユーヤの指が動くたび、ぐちゅぐちゅと淫猥な音が響いた。
「こんなに濡らして。美咲さんも早くヤリたかったんですね」
「あんっんっあぁんっあぁっユーヤぁユーヤぁぁ……」
「もっと強請ってくださいよ。ねぇ、美咲さん」
「あっあぁんっ……ユーヤぁ……あんっ、早く……早くきて」
「美咲さん。俺、ずっと待ってたんですよ……」
ユーヤが避妊具をつけた先を焦らすように擦り付けて言った。
「ずっとずっと待ってたんですよ、我慢して……」
「あっあっユーヤぁユーヤぁ……早く……早く」
「挿れてほしいんです?」
「早く……早く挿れて……ユーヤぁ早く挿れてぇ」
「あぁ、その顔いいですよ。超やらしい」
そう言うと、ユーヤがぐっとわたしの中に攻め入ってきた。
思わずユーヤの背中に爪を立ててしまう。腰が仰け反る。
短い声をあげて、わたしはのめり込むようにユーヤの腰の動きを全身で感じた。
ユーヤは二週間前にコンビニの前で拾った。──拾ったという表現が正しくぴったりで、シャワーの音を聞きながらわたしは小さく苦笑した。
土砂降りの雨の日。仕事帰りに通った駅前のコンビニ。
こんな雨の日は迷うことなく素通りするはずのそのコンビニの前で、わたしはユーヤを見かけた。
秋口の冷える夜に、薄手の長袖とチノパンと言った軽装が寒そうで──そしてその何も見えていないかのような目に見入ってしまった。
傘がないならコンビニで傘を買えばいいのにと思った瞬間、彼がわたしに声をかけた。
「おねーさん、俺を拾ってくれませんか?」
わたしは何も言わず彼のもとへ歩いて行くと、傘をあげ、彼の入るスペースをあけた。
彼はユーヤと名乗った。
家に着いてから彼が自ら出したお財布には一万円札が五枚と、キャッシュカードが一枚入っていた。──キャッシュカードには、ハヤマ ユウヤと書かれていた。
「拾ってくれてありがとうございます。家事、やりますね」
そう言ってユーヤはわたしの生活にするりと入り込んでしまった。
一人暮らしの28歳独身のわたしの家に、「おかえり」と言ってくれるひとができた。
それはとても心地よいものだった。