Rainy day-3
ユーヤが和えるパスタを見つめながら、わたしは小学生のときに書いた作文を思い出していた。
“将来の夢”──。
「デザイナーになりたかったなあ。専門学校にも行ったんだけどね、才能なくって、諦めちゃった」
それでも輝いていた、あの頃。
夜遅くまで粘って考えたデザイン。
みんなでひとつのものをつくることの喜びを、わたしはきっと忘れないと思う。
挫折して、諦めて、入社した今の会社で出会った和樹とは式場見学にまで行っていたのに──。
「夢を叶えられたひとって、いったいどれくらいいるんだろうね」
パスタがお皿に盛られていく。
バジルの葉を散らせ、胡椒をひく。
「お昼ごはんを食べたら、買い物に行く前にセックスします?」
ユーヤがお皿を両手に持って言った。
わたしは笑って、それもいいねと言った。
和樹と別れてから、仕事もミスが目立つようになった。
ユーヤと出会ったあの雨の日も注文ミスを叱られた日だった。
馬鹿みたいね。わたしは何度も鏡の自分にそう言った。男に捨てられたくらいで、馬鹿みたい──。
そんなときだったから、わたしは何も言わずにユーヤを拾ってきたのかもしれない。
「あっユーヤ……あんっあぁんっ」
「美咲さんのそういう顔、大好きですよ」
「ユーヤぁユーヤぁ……」
「美咲さん、好き。好きです。好き」
わたしたちのセックスに愛があるかどうかは、わたしたちでさえよくわからなかった。
ただ、お互い何か忘れたいことがあるんじゃないか……というような気はしている。
ユーヤは自分の素性が知られるようなことは一切言わない。
わたしも、そんなことはどうでもよかった。
「あぁ……ユーヤのおっきいの……入ってくる……入ってくるよぉぉあぁっ気持ちいいのぉ」
「美咲さん。可愛いです。超可愛い」
わたしたちは獣のように交わった。
うなり声をあげ、腰をくねらせ、そしてお互いの肌にたくさんのキスのシャワーを飽きるほど浴びせた。
何度も体勢をかえ、お互いの気持ちいい場所を幾度となく刺激しあった。
「ユーヤとのセックス、気持ちいいのぉ……おかしくなりそう……気持ちいいのぉぉあんっあんっああぁぁっ」
「俺も気持ちいいです……美咲さん……超気持ちいい」
ユーヤの指にしゃぶりつき、腰を振ってユーヤを刺激する。
ユーヤが大きく息を吸う。
あぁ、もうすぐだ。
「美咲さん、俺、もうすぐイッちゃいそうです……イキそう……」
「いいよ、イッて。わたしの中でイッて」
「あぁっ……ああぁイキそう……イクッイクッ」
ユーヤが狂おしそうな声をあげて腰を突き上げた。
わたしも、ユーヤに続くように絶頂を迎えた。
「はぁ……はぁ……美咲さんもイキましたか?」
「うん。ありがと」
ユーヤが満足そうに微笑んで、ガクッとわたしの上に倒れこんだ。
そんなユーヤが、たまらなく愛おしく感じた。