投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

サヨナラ
【悲恋 恋愛小説】

サヨナラの最初へ サヨナラ 2 サヨナラ 4 サヨナラの最後へ

サヨナラ-3

大好きなものが、大嫌いなものに変わる瞬間。



「・・・2個もいらないし」

それだけ言うのがやっとだった。

やっぱりそうか。

私にとっては宝物だった鍵も、あなたにとってはどうでもいいのか。

わかってたけど、わかるとキツイ。

「また誰かにやれよ。伝統だ」

「なにが伝統よ。あんたから始まったくせに」

私もなんとか立ち上がる。

戻ろう。あの場所へ。

「行くのか?」

あなたのいないあの場所へ。

「泣きの練習しなきゃね」

歌が聞こえるあの体育館へ。

「お前の涙は、写メんなきゃな」

さびついたドアに手をかける。

ここへはもう、来ないと胸に誓って。

「瞳」

ノブを回していた手を止めて、振り返る。

「楽しかったよ」

あなたは笑う。

私に向かって。

我慢しろ。

我慢しろ。

我慢しろ。

「・・・・私も」

ここで写メなんか撮られたくないもの。

「先輩といれて・・すっごく楽しかった」

笑えているんだろうか?

涙は流れていないだろうか?

足は震えていないだろうか?

せめてせいいっぱいの笑顔をしよう。

きっとあなたは気づかないから。

気づいてなんかほしくないから。

私の涙もこの想いも。

そしてまた、ノブを回す。

初めてだった。

このノブを、こんなに重いと感じたのは。


サヨナラの最初へ サヨナラ 2 サヨナラ 4 サヨナラの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前