告白-1
(ふわぁ……どうしよう……)
リョウツゥはスコップで土を掘りながら悶えていた。
何をしていてもジルの事が頭から離れない。
今、何をしているのだろう?
今日の差し入れは食べてくれただろうか?
また、痛い思いをしているのだろうか?
リョウツゥの事が好きだ、というのはどういう意味で、だろうか?
2度目の行為は若干倒錯的だったが、それはジルが相手だから出来た事だった。
安心できる安全な相手だからこそ、縛られても目隠しをされても委ねられる。
それは、やはり、ジルが特別な存在だからであって、誰でも良いという訳ではなくて……。
(つまり、私……ジルさん……の事……?)
好き、という事になる。
(あ、あり得ないっ!だってだって、ジルさんは銀の民だものっ!そ、そりゃ他民カップルも居るし、否定はしないけどっ)
リョウツゥの手が土を掘るスピードを速める。
(そ、それに、ジルさんにとって私は玩具だし、好きの意味もきっとそういう意味であって、特別な意味なんて……っ)
だけど、ジルからの求愛の口移しはとてもとても甘く、告白?の言葉は身体中に染み渡ってとても幸せだった。
これは、認めざるを得ないのかもしれない。
ジルがリョウツゥをどう思っているかは分からないが、リョウツゥは彼が大好きなのだという事を。
でなければ、身を委ねたりしないし求愛を嬉しく思ったりしない。
(うぅ……きっと始めからだわ……)
そもそも、痛みを忘れさすために身体を使って奉仕したいだの、良く考えたらおかしい話だ。
ジルも良く、受け入れてくれたものだ。
「リョウツゥ、どこまで掘るつもりだ?」
考え事に集中していたリョウツゥに、ヴェルメが呆れた声をかけた。
「え?えっわわわっ!!」
リョウツゥの掘った穴はとても深く、落とし穴でも作っているのかと思う程だ。
「ご、ごめんなさいっ!ボーッとしてました」
リョウツゥは慌てて穴を埋める。
「ふむ。最近、多いな」
「う゛」
確かに、ジルの事ばかり考えていてミスが多い。
「恋煩いか?そうか、そうか」
ヴェルメは自己完結して満足そうに頷いた。
間違いでは無いのでリョウツゥは赤くなって黙る。