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運命という名の恋
【女性向け 官能小説】

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「そんなことを言ってくれるのは上杉さんだけ」
「そんな」
「いやホント」

「柳下さんは素敵です。
誰もやりたがらないようなめんどくさい仕事まできちんとこなして
秘書課では、親切で有名です」

デザートを食べていた手を休めて
身を乗り出して力説する。

「あ、ありがとう」
そこまで褒められることも少ないし、ビックリしてそう答えたら

ハッと気づいた上杉さんは小さく息を吹きだして
「すみません」
と恥ずかしそうに謝った。

「いや。ありがとう。運命の人なんて言ってるから
割と呆れられることが多いんだけど。そう言ってもらえるとうれしいよ」
「・・・・」

それからはお互いに恥ずかしくなってあまり言葉も弾まないままに別れた。

まずいことになりそうな予感がする・・・

週に何回か二人でご飯を食べに行ったり
居酒屋に行ったりして。
自分の中で嘘が本当になりつつある。

脳内で上杉さんを『彼女』だと誤認識し始めてる。

あんなに可愛い顔で「柳下さん」なんて常に隣で呼ばれれば
隣にいることが普通だと思ってくる。
居酒屋に飲みに行けば、周りも認めだして
俺たちはワンセットに数えられる。

これって。まずいよな。

まずいとは思っていても
可愛い女の子の隣は居心地よくて。
そして、小野寺のコンクールのことも頭から離れなくて
忙しさにかまけて、自分の心をきちんと覗き込まないうちに
日々が過ぎていった。




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