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運命という名の恋
【女性向け 官能小説】

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思わぬ形で知った上杉さんの名前を何回か口の中で復唱した。
由紀ちゃん、ね。

そうしているうちに
受付の村松さんがわざわざ広報まで上がってきて
「柳下さん、ちょっといいですか?」と俺を呼び出した。

帰ったばかりでコーヒーの1杯でも飲みたかったし。と
社内の自販機コーナーのところで話を聞くことにした。

「どうした?」
「あの。奏くんがコンクールに出るので聴きに来てほしいと言われたんですが」

あぁ―――思った通りだ。
数年ぶりに聴いた小野寺のピアノは俺の覚えている演奏とは全く違った。
小野寺は村松さんと付き合ってるのか?

小野寺の演奏を変えたのは村松さんなのか?
あれで本気でコンクール用の練習をされた日には
国内で敵う学生はいないだろう。


「このコンクールは国内では最大級だよ」

「俺も行く」
小野寺の仕上がった演奏を聴いてみたくて。そう言った。

そのあとも小野寺の仕上がり具合が気になって
駅前にできた新しいお店に行きませんか?と
誘われて二人で来たのに、上杉さんの話をロクに聞いていなかった。

「柳下さん?」
「あ。ごめん」

「いえ」
「ごめん。もう1度言って」

上杉さんは少し困った顔をして
「今度の土曜日なんですが、高校時代の先輩がアマチュアなんですけど
数人でコンサートをするんです。一緒に行きませんか?」







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