半獣奇譚-7
「大丈夫よ・・・慣れるわ、お互いに。」
食事を済ませると拡がった膣がゆっくりと元に戻るのが心地良かった。
家族で食事するのもこんなに心地良いものとは思わなかった。
クマは子供みたいで気を抜くとすぐに皿に口をつける。
私は手を添えて、箸で摘んだ食事を口に運ぶように手伝ってやる。
こんな生活がこれから続くものと思えば、決して悪い気はしなかったのだけど・・・
「奥様、本日はありがとうございました。
実を申しますと私が人でいられるのも今日限りでございまして、明日には犬の姿に戻ってしまいます。
それでも宜しければ、どうか末永くお仕えさせて頂けませんでしょうか?・・・」
目覚めたら、黒い仔犬がよちよちと擦り寄っていた。
私は抱き上げて、その匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
いのち短し 恋せよ乙女
朱き唇 褪せぬ間に
熱き血潮の 冷えぬ間に
明日の月日は ないものを
愛する事って何だろう?
寂しさを埋めるために人を恋しがる。
それは、たぶんきっとそうなんだろうけど、それだけじゃないと私は信じたい。
私はもっと自分を愛するべきではなかったのだろうか?
それでなければ、本当に愛する事の意味を知ろうものではないような気がする。
クマを拾った時はちょうどこんなくらいだった。
それから七年の命は思えば、あまりに短かったのかも知れない。
だけど、私は自分と同じぐらい、このクマを愛してみたいと思う。
それを知らせるためにクマはまた帰ってきてくれたように感じる。
それから時々は交配させてやっても・・・いいかも知れない。
ー完ー