逢瀬-1
蛇口を締めるとさっきまで勢いよく出ていたシャワーが止んだ。
そして私もさっきまで自分自身に『まずは行動よ！』と言い聞かせていたのに、急に『これでいいの？』自問していた。
迷いながらバスタオルで身体を拭き、巻きつけるように胸元からバスタオルを巻いた。
はぁ〜。
ため息をつきながら鏡を見るとほぼすっぴんの顔が映り、不安げな表情が見える。
『ここまで来て、今更逃げるって言うのもできないよね…
でもやっぱり私…
う〜ん、参ったなぁ…
そうだ！正直に言って今日は帰ろう！
でもここまで来ちゃってるしなぁ…
それでも無理なものは無理だしなぁ…
やっぱり断ろう…』
迷いながらバスループのドアを開けると先にシャワーを浴び、腰にバスタオルを巻いた姿の高杉がドアのすぐ向こうにいた。
高杉の姿を見た私は驚きながら恐る恐る切り出した
「…あの…私やっぱ…」
言いかけた私を強く抱きしめた高杉は唇を激しく奪った。
「もう我慢できない」
唇を離した高杉は言葉を洩らし、お姫様だっこをして私を運び、そっとベッドに横たえた。
覆いかぶさるようになって再び私の唇を奪った高杉の唇は頬を経て、項にキスの雨を降らせた。
「素敵だ。綺麗だよ。亜沙美さん」
呟きながらの高杉からのキスの豪雨の中、私は困りながら
「ちょ…ちょっと…高杉さん…」
言葉が耳に入っていない高杉は私の耳を軽く噛みながら、バスタオルをはぎ取ろうとする。
「やだ！ちょ…ちょっと…」
はぎ取られまいと力を入れながら
『だめよ。帰らなきゃ！
言えば分って貰えるわよ
やっぱりこんなの…』
力を入れて抵抗する中、タオルは無情にも徐々にはぎ取られ、私の肌が次第にあらわになっていく。
そんな情景を楽しむように高杉の声が漏れてくる。
「何て綺麗なんだ。白く透き通って、亜沙美さん。
好きだ。大好きだよ」
『そんな…ダメよ…高杉さん…
私たちには家庭があるし…
やっぱりダメよ…』
私は意を決して言葉を出した。
でもその言葉は思いとは裏腹に本能のままの言葉だった。
「…ライトを消して…」
私は自分のことながら驚き、それでもすぐに訂正しようとしたが、
時すでに遅し、だった。
高杉は証明のスイッチに手が伸ばし、あっという間に部屋の中が闇に包まれた。
次第に目が慣れ、薄暗さがわかるようまでになると私の上に覆いかぶさる高杉のシルエットだけが目に映った。
高杉はゆっくりと私の身体にまかれていたバスタオルを外し、私は生まれたままの姿になった。
夫ではない、別の既婚者の高杉の前で…
高杉は私を確かめるように頬に手をあて、ゆっくりと顔を近づけ、キスをした。
まるで初めてのキスのように愛おしく、長い時間をかけて唇を重ね、その後、ゆっくりと舌を這わせる。
いつの間にか私の両手は高杉の背中に回り、抱きしめていた。
高杉の重みを感じながら、夢中で舌を絡ませ、身体の芯がどんどん熱くなってくるのを私は感じた。
時に音を立てながら激しくでもゆっくりと、そして荒々しく、今までの我慢をお互いに解消するように唇を重ねた。
高杉の唇は私の唇を堪能した後、名残惜しそうな私の唇を後にしてさっきと同じように頬を経て、項に到達した。
「亜沙美さん…
愛してる…
愛してるよ…」
高杉が呟きながら項にキスの小雨を降らせる中、私はくすぐったさ以上に身体がジンジンと熱くなるのを感じ、
「はぁ…」
次第に吐息が漏れ始めた。
私の吐息を合図にするように項の雨は激しさを増し、高杉の右手は私のバストに移動し、優しく触れた。
包み込むようにあてがわれた高杉の掌はゆっくりと円を描くように愛撫を始めた。
ゆっくりと円を一周する度にジンジンと身体の熱が増すのを感じる中、
「あぁぁん！…」
私は突然自分でも驚くくらい大きな喘ぎ声を出してしまった。
高杉の意地悪な指が私の乳首を摘んだのだ…
何度も何度も優しく愛撫した高杉の右手は攻撃対象を私の乳首に集中させ、私はその攻撃に陥落し、刺激を受ける度にあえぎ声を漏らした。
今までの男性との体験やオナニーでも乳首の刺激に感じることはあったがここまで強く感じることがなかった。
『どうかしてるのかなぁ…？』
少し違和感を感じながら、それでも執拗な高杉の刺激に私の思考は崩壊寸前だった。