運-4
「彼氏がいれば言い寄られないでしょう?」
「はい」
山口・・・お前大きなお世話だろ。
山口と上杉さんの会話を聞いてため息を吐きだす。
「上杉さん、ありがとうね。ほら山口、出かけるぞ」
そう言って持って行く資料を整理しようとしたら
「そうだ!柳下さんが上杉さんの彼氏のふりをしてあげればいいのよ」
と山口が言いだした。
「はぁ?」
なんで?
「今後、変な男に言い寄られないためよ」
なんで俺が?
「ダメなの?」
ダメだろ?
「良いじゃないの。柳下さん、ちょうど彼女いないし」
「丁度。じゃねーよ。運命の出会いを待ってるんだよ!」
「運命運命ってうるさいわね〜」
うるさいってっ!
「そんなの柳下さんに悪いです」
いや・・・悪くはないけども。
「あ〜あ。けちんぼだ〜」
山口は黙ってろっ!
「大丈夫です。でも誰かに彼氏のフリをしてもらう案はいいかもしれませんね」
「そうね〜。柳下さんなんかより良い男はいっぱいいるわよ」
その言葉にも苦笑いして。
広報部を出て行こうとするから。
「まって」
と、上杉さんの右手の肘をつかんだ。
「俺でよかったら」
そう、知らぬ間に返事をしていた。