○○○○クラブにようこそ-3
美弥子達の卑猥さならばこその、言いえて妙な名称だとは思ったが、聞くだけで赤面し、口にするのもかなり恥ずかしい。そんな瑞季の様子を窘めるように、瞳は瑞季に言った。
「会員が純粋にそれを楽しんでいるからこそこの名称なのよ。恥ずかしがらずに言ってご覧なさい。『あたしはおまんこクラブのエロ女31号です』って」
しかし、いきなりそんな露骨な単語を息子と2人の男の前で口にすることはできない。
「ご、ごめんなさい…、言えません…」
「あら、言えるわよ。だって瑞季さん、さっき、呪文を唱えるように言ってたじゃないの」
横から美弥子が笑いながら言った。
「そうそう、まさかお母さんがあんなことぶつぶつ言うとは思わなかったから、オレもビックリしたよ」
確かに。何故か頭に残る呪文のような卑猥な単語を、知らず知らずの内に詠唱していた。それは車の中で眠り込む瑞季の耳元で美弥子が唱えていたフレーズだった。
(睡眠学習って、結構効くものなのね)
美弥子は内心、可笑しくて仕方がなかった。
しかし、一度人前で口にしたからと言って、基本生真面目な瑞季が直ぐには言えるものではない。瑞季は俯いてモジモジするしかなかった。
「まあ、それは追々でいいでしょう」
瑞季の困った様子に、心優しい美弥子が助け船を出した。
しかし、瞳は身内のその不甲斐なさを許すつもりは無かった。
「ところで瑞季ちゃん、あたし達は恥ずかしければ恥ずかしいほど、それが女の歓びになることはわかるでしょ。瑞季ちゃんにとって、一番恥ずかしいことって何?」
恥ずかしさが女の歓びになることを今一理解できなかったが、瞳に言われて、瑞季の脳裏にあることが浮かんだ。それを思い浮かべた途端、瑞季は恥ずかしさのあまりに赤面してしまった。
「その様子は何か思い浮かんだようね。実はこのクラブに参加する女達は、初めに自分が一番恥ずかしいと思うことをみんなの前で実践しないといけないのよ」
嘘だった。
「えっ?」
「だから瑞季ちゃんも、今思い浮かんだ自分で一番恥ずかしいとをここでして頂戴。これは避けることはできない関門なのよ」
「で、できません…」
生真面目な瑞季に『その行為』の披露は無理な相談だった。
「あら、ならいいのよ。瑞季ちゃんには帰って貰いますから。幸樹くんは責任を持って男にしてあげるから安心して」
瞳がわざとよそよそしく言った。
「い、いや…」
瑞季にまた疎外感と敗北感が襲ってきた。
「ね、今更帰るのは嫌でしょ。だったら覚悟を決めるのよ」
「大丈夫よ、貴女にはできるわ」
瞳の追い討ちに、美弥子が微笑みながら優しくフォローした。
恵子も乳首の刺激に堪えつつ、忠と新司の肉棒を扱きながらニッコリと微笑み、恵子に肉棒を扱かれ中の2人の男も力強く肯いた。気になる幸樹も瑞季の目を見据えて肯いていた。
その笑顔と自分を優しく見守る目に、瑞季は救われた気持ちになった。ふと気付けば、元夫の浮気以降昨日までの、モヤモヤした重苦しい気持ちは一切なかった。
(この人達なら信頼できる。全てを委ねるのよ瑞季…)
今まさに着ている服とともに、自身の弱さを隠すための『生真面目』と言う名の鎧を脱ぐ時だった。瑞季は自分自身を鼓舞した。
「は、はい、やります…」
この人達の期待に応えたいと心から思った瑞季だった。
一族の硬柔役割を替えた見事な掛け合いに、またもや瑞季はスンナリと嵌まったのだった。
瑞季が思い浮かべる『一番恥ずかしいこと』には少し準備が必要だった。
「準備をするので、ちょっとだけ失礼します」
瑞季は断ってから、一端部屋へと戻って行った。