序章 シングルマザー瑞希-1
【序章 シングルマザー瑞希】
大野瑞季(オオノミズキ)はシングルマザーだ。夫の浮気が原因で離婚し、一人息子の幸樹(コウキ)と2人で暮らし始めて3年になる。
離婚当時にはまだ幼さを残していた幸樹だったが、この1年でグンと身長が伸び、来年大学受験を控えた今では、瑞季の身長を20cmは上回る程に成長していた。
元夫からの養育費や婚姻時代の蓄え、そして自分の稼ぎを併せると、幸樹の大学入学の算段は立っていたが、老後のことを考えればまだまだ頑張るしかなかった。
しかし、ここ最近、今まで感じなかった体の疲れを感じるようになり、日々の家事と仕事の両立は39歳アラフォーの体には堪えるようになってきた。
全ての家事が終わった後、ゆっくりと入浴することが今の瑞季の楽しみだ。温めの湯に長く浸かると、じんわりと凝り固まった緊張が解きほぐされ、疲れた女体を優しく癒してくれた。
しかし、そのほっこりとできるはずの浴室が、2、3日前から癒しの場所ではなくなってしまった。入浴中の今も神経がピリピリしてしまい、とても癒されるまでにはいたらなかった。
1週間前から兆候はあった。入浴後、全裸にバスタオルを巻いたまま、翌朝にタイマーセットした洗濯機に汚れた衣服を入れることが、1日の家事の締めくくりだった。
1週間前のこと、ふと自分の脱いだ下着が脱衣かごに見当たらないことに気付いた。排卵日なのかその日は下り物が多く、下着の汚れが気になっていたから特に気にしていた。
結局その時は、一緒に脱いだスカートにでも紛れて洗濯機の中にあるんだろうと思ったが、汚れ具合を確認するために、洗濯機の中からわざわざ汚れ物を探すのも気が引ける。だからその時は深く考えず、それ以上は気にしないことにした。
翌日、洗い終わった洗濯物を干した時には、ちゃんとその下着は洗濯物の中から出てきたのだ。
(やっぱり紛れ込んでいたのね…)
この時は気のせいだと思っていた。しかし、それから毎日同じことが続いた。そして今朝のこと、遂に洗い終わった洗濯物の中から下着が出てこなかったのだ。
(まさか幸樹が…)
その真相を調べるべく浴槽に浸かりながら、瑞季は脱衣場に神経を張り巡らせていた。
しかし、ふと自分がじっと構えていても何も起こらないことに気付いた。瑞季は自分の待ち構えている気配を消そうと、シャワーを出して体を洗っている素振りをみせた。勿論、神経は扉の向こうの脱衣場に配ったままだ。
瑞季の予想したとおりにそれは直ぐに起こった。瑞季がシャワーを使うのを見計らって、脱衣場の廊下側の扉がかすかに開く気配がした。今日は下着が見つかり難いように、汚れ物の1番下に隠していた。しばらくして、中々見つからない下着を探して焦る雰囲気が、神経の昂った瑞希の肌にビリビリと伝わってきた。
「誰か居るの?」
瑞季はシャワーを出したまま、浴室の扉をガチャリと開けて脱衣場を覗いた。案の定幸樹がそこに居た。固まる幸樹の手に、自分の下着がしっかりと握られていた。
「そ、それ…」
想像していた最悪の事態が目の前で起こったことで、瑞季の思考は一瞬停止した。
母親に見つかり、一瞬逃げようとした幸樹だったが、扉の隙間から見える瑞季の女体に目を奪われた。しっとりと濡れる女体を前にして、おどおどしていた目がギラリと一瞬にして変化した。
瑞季は幸樹の視線を辿って自分の女体を見降ろした。視線の先にまだまだ崩れていない胸が魅力的にプルプルと揺れていた。更にその下には湯で大淫部に貼り付いた陰毛が黒々と見て取れた。
「い、いやっ…」
幸樹の目の色の変化に身の危険を感じた瑞季は、慌てて浴室の扉を閉めて、普段使わない鍵を掛けた。
扉を閉められた音にビクッとした幸樹は、そのまま脱衣場を飛び出し自分の部屋に駆け込んだ。
しばらくして、瑞季はそうっと扉を開けた。幸樹の気配が無いのを確認して、急いで下着とパジャマを身に付けると、自分の部屋に駆け込んだ。
「ふう…」
瑞季がホッとしたその瞬間、見慣れた物が自分のベッドの上に置かれていることに気付いた。
恐る恐るそれを手にした瑞季は、へなへなとその場に腰を落とした。
瑞季の手にした物は、さっき脱いだばかりの自分の汚れた下着だった。しかしそれだけではなかった。瑞季の尿で少し汚れた下着の股間部分に、大量の精液がベットリと付いていたのだった。
栗の花のような匂いが鼻腔を刺激し、瑞季の動悸は激しくなっていった。