こじらせ処女-10
顧客との面談で同意を得られたら(むしろ俺が同意したくないってのはおいといて)、今度は契約に移る。
撮影にあたり、数々の規約を記載した誓約書にサインをしてもらい、印鑑を押印してもらい、契約完了となるわけだが。
俺は客が押印する前に、この利用規約は必ず読んでもらうことにしている。
超プライベートなことを撮影するわけだし、このご時世、ネット流出なんかのリベンジポルノに利用される可能性だってあるかもしれない。
だから、少しでもリスクを回避する必要があるからだ。
まずは未成年の利用は絶対禁止。これは当然だ。
うちの会社の撮影料金は割りと良心的だけど、かと言ってガキが簡単に利用できる料金に設定してないから、これは比較的問題はない。
身分確認はするけれど、それでも年齢詐称をして利用した場合は、弊社は一切の責任を負わない。
では次にリスキーな客はと言うと。
そう、不倫カップルが申し込んだ場合だ。
ああいう付き合いをする輩ってのは、得てして秘密の関係のくせに過激なことをしたがる奴が多い。
撮影し、動画に残すことは、二人のいけない関係をさらに盛り上げるスパイスにもなるからだ。
だけど、許されない関係の二人が、形に残すってのはかなりのリスクを伴う。
そしてそのリスクは当事者だけじゃない、俺達にも振りかかる可能性があるのだ。
不倫をされた側……いわゆるサレにしてみれば、単なる撮影側の俺達だって共犯者と見なされることがあるかもしれない。
それだけじゃない、不倫のような未来のない付き合いなんて別れが付き物だし、別れる際も円満に別れられるとは限らない。
そういうドロドロした修羅場はリベンジポルノのリスクも高くなる。
だから、弊社は不倫や浮気のカップルは原則お断り。
まあ、そう謳っていても、依頼者が恋人だと言い張ったらそれまでだ。
それ以上関係性を追及できないわけだし、どんなに疑わしくても、客である以上、完全に門前払いは出来ない。
だから不倫や浮気カップルの利用は基本お断りだが、もしどうしても利用したいなら、自己責任でどうぞ、っつうことだ。