藍-6
お互いが同時に恍惚の波に乗った時
お互いにお互いを感じあった。
「んはぁぁ・・・・あ・・・・あ・・・」
私の中で自分を解き放った奏くんとともに
ゆっくりと私たちは意識を現実に引き戻した。
「愛してるよ」
それでも、その言葉を呪文のように唱える奏くんに
「うん・・・うん」
としか返事が出来なかった。
私と出会った事の意味が、あなたの音に色を付ける事ならば。
喜んでその意味を、その役で満足しよう。
あなたと出会った事の意味が―――
もし、本当にあるのなら。
あなたを日本という籠から出す事だったと納得しよう。
さようなら。
大好きだった。
進行形にはしない。
過去形にするよ。
あなたに私を負担だと思ってほしくないから―――
その日が、私と奏くんが会った最後の日だった。
奏くんは2ヶ月後、希望した音楽大学へ留学した。
日本の音楽大学は休学ではなくて退学して。
渡航前にそう、電話してくれた。
さようなら。
大好き・・・・だったよ。