藍-2
「待っててなんて軽々しく言えないよ」
「待ってるなんて軽々しく言えないわ」
「茜さん。愛してるよ」
「私は・・・愛してるとは、今は言わない」
声に涙がにじんだ。
悔しいから、涙を奏くんのコンクール帰りのスーツにこすりつけた。
化粧が付いたって構うもんか。
「それでも、愛してるよ。
俺の全ては茜さんだよ。茜さんが俺の音のすべてだ。
今日いただいた評はすべて茜さんがくれたものだよ。
俺の音に茜さんが色を付けてくれたんだ。ありがとう」
「・・・・奏くん」
「素敵な人がいたら俺にかまわず結婚して」
「奏くんは素敵な人がいても結婚しないで」
「うん」
ギュッと抱きしめるその手が痛い。
「好きなところへ行けばいいわ。
私を置き去りにした事も忘れちゃえばいい」
「ごめん。そんなこと言わせてごめん」
「愛してるわ」
「愛してるよ」
ゆっくりと、お互いがお互いを望むように
キスをした。