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虹色の楽譜
【女性向け 官能小説】

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私で、変わる?

「誰かが傍にいる事だけで演奏が変わる、
なんてあるんですか?」

ピアノの事をあまり分からない私は良く意味が分からない。

「俺も今日実際に奏の演奏を聴くまでは信じられませんでした。
が、今日の奏は明らかに俺の知っている演奏とは違う音だ」
「そうなんですか・・・」

演奏が、私で、変わる?

「奏は。田舎育ちなんですが。
親にかなり厳しくピアノを叩きこまれましてね」
「・・・・」
「ほとんど、田舎の子らしい遊びをしていないんじゃないかな」
「・・・・」
「少し・・・神経質な弾き方をするんです。
大学でこっちに出てきて親から離れたんですが
自分で課した練習ばかりでがんじがらめでね。
息抜きに俺の店で弾かせているんですけど・・・
あなたがいる事によって、ここまで音が違うとは思いませんでした」

オーナーは私にあまり視線を合わせないまま。
奏くんの方を見ながら困ったように笑った。

「豪さん。茜さんにちょっかい出すのやめてくれる?
響子さんに言いつけるからな」

演奏が終わった奏くんが私たちの話している席に来た。

「別にちょっかいは出してないさ」


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