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衛星和誌 −Qカップ姉妹−
【SF 官能小説】

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調教士として(29)-1

 乳房おっぱいをはじめ、彼女たちの肌はすっかり敏感になっており、快感でのけぞって体を離したりしないためにはということで、ジェニファーが押さえ役に指名されていた。彼女はあなたの背後で、皆のウェストに取り付けた小さな専用器具を手綱として繋いだ縄を握り、自分も含めた六人全員をあなたの周囲にまとめている。縄は大した長さはなく、彼女も引っぱられてか、あるいは自分の意志でか、あなたの裸の背にやはりおっぱいをぴったりとくっつけていた。汗とは思えない量の液体を背に感じていたから、彼女の敏感な乳首も、あなたとの接触でミルクを噴出していたのかもしれない。彼女とナディーカのおっぱいも、公平に、吸ってあげなくてはならないだろう‥‥。
 ――六人を繋ぐ二段縛りも、あなたは行なった。オイオとスガーニーの女たちは、一本の縄でその乳房を、目の前に大きく盛り上げられる形できっちりと二段に仕分けられ、
「繋がってますっ。わたしたとち、いま、繋がってますわっ」
と口々に言い合い、感動していた。

 あなたは、スガーニーの女たちともよく話をするようになった。彼女たち、特に政治、経済、そして軍事――に関わるナディーカとジェニファーの口からは、あなたがこれまで知らなかった、この木星圏の様々な事情を聞くことができた。現在のことだけでなく、近い未来に予測される出来事までも。
 それらは、この木星圏全体についての話だったが、またリリアからは、あなた個人にとっても大きな、ある申し出を、受けてもいた。
 あなたには、決断を下すべきことがあった。ほかでもない、あなた自身の帰還のことである。オイオを経って以来、特にコンジャンクションに突入してからは考えないようにしていた。そして終了後も、リリアたちの調教という新たな目標と仕事を前に、やはり考えないようにしていた。正式な条約の調印まではと‥‥。
 スガーニーの転送装置は、実際に帰還が可能だった。すでにあの黒調教士を安全に帰還させており、その後のスキャンでも彼は問題なく生活している、ということだった。そして、ナディーカはあなたに、装置をいつでも使わせてくれる、とも請け負ってくれた。帰還してほしくは、なさそうだったが――。
 ナディーカの気持ちはともかくとして、帰還はあなたの権利である。そしてナディーカは、言ってくれた。
「調教士さまがお好きなときに、いつでも使っていただいて、構いません‥‥」
と。泣きそうな顔で。
(この星系に残ってください――)
 彼女の顔には、そう書いてあった。が、しかし、健気けなげにもスガーニーの代表として、転送装置の使用を確約してくれていた。期限が定められているわけではないのだから、あなたの気持ちひとつで、帰還の決断はいつまででも先延ばしにすることが可能であった。しかしあなたは、オイオとスガーニーの両国が正式な条約に調印したいま、先延ばしにするべきではない、と考えていたのだ。リリアからの申し出は、そんな迷いのなかにいたあなたを、さらに煩悶させるものだった。

 そしてついに、別れの日がやってきた。
 あなたたちはベルサビア空港で、乗ってきた宇宙艇に乗り込んだ。あなたはスガーニーの三人と抱擁した。ルリアとリリア、ジャニスさんとジェニファー、そしてミドリとナディーカ姫も、同様にしていた。皆、別れを惜しんだ。
 といっても、これが本当の別れではなかった。宇宙艇はオイオ星に向かったが、ナディーカ姫は、ウプ・ウアウト級巡洋艦に座乗するまでして、見送ってくれたのだ。彼女お気に入りの「高潔な乙女インティグリエイト・マイデン」という艦だそうで、一応、フカリスとトゥーロパへの巡幸のついでという名目らしいが、あなたたちへの愛情が感じられた。ジェニファーとリリアも乗っており、あなたたちの宇宙艇と途中まで並走した。
 宇宙船同士の軌道が離れてゆく本当の別れ際、窓からはよく見えなかったが、スガーニーの三人は、モニタからあなたやルリアたちに熱く手を振っていた。あなたもルリアたちも、振り返した。
 また逢いましょう的なことは、お互い、誰も言わなかった。それは、あなたの決断を尊重してのことかもしれない。
(俺は、どうするべきなんだろう‥‥)
 往路と同じく、飛行中、母星である木星はずっと大きく見えていた。心なしか、行きよりも頼もしく思えた。星々は、暗い宇宙を背景に、あなたを祝福するかのように煌めいていた。
 今回の一件により、スガーニー−オイオ間には、シャトル・シップと呼ばれる定期船が通ることになっていた。すでにスガーニー星とフカリス星およびトゥーロパ星の間には往来している木星圏の定期便だそうで、後にはオイオ星とフカリス星、トゥーロパ星もこれで結ばれることになっており、ナディーカ姫の巡幸はこのための協議も兼ねているそうだった。あなたは、この木星圏せかいの平和と繁栄のために、確かに力になったのだ。
 あなたたちが帰還するオイオ星は、あなたにも早くに見つけることができた。くすんだ黄の地に、茶、黒、赤が混じる、鮮やかではないが印象的なその衛星ほしの姿に、あなたは懐かしさを覚えている己を発見していた。
 三人は、無論のこと、その衛星オイオが、懐かしく見えているようだった。ミドリは泣いており、ジャニスさんに涙を拭いてもらっていた。そしてルリアも、うっすらと光るものを、その長い睫毛の瞳に浮かべていた。
(――――‥‥)
 あなたは、その美しい横顔を見ながら、リリアから言われたことへの返答を、先延ばしにすべきでないと考えていた。あなたは再び、煩悶に陥った。大袈裟かもしれないが、あなたの選択は、オイオという、小さいとはいえひとつの国家の行く末に、影響を与えることにもなるかもしれないのだから。
(‥‥それよりも先に、着陸して、宇宙艇ふねから出たら――。その場で、機会おりを見て、帰還についてだけは、言うべきかな‥‥)
 あなたは、考えあぐねた。
 やがて、周回軌道に乗った。首都エウドシアが見えてきた。そして管制との交信の後、宇宙艇はレオニア空港への着陸コースに入った。


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