その6-1
優は、自宅に入る前にひとつの決心をした。
(お母さんに言おう…)
「ただいま。」
「おかえりー。」
いつもどおり迎えてくれる母親、しかし、ここからはいつもどおりではない。
「ねえお母さん、ちょっと話があるんだけど…」
「何急にそんな改まって…」
ごくりと息を飲む優、しかし、言うと決めたのだ。
「お母さん、いきなりで何ってるか判らないと思うんだけどさ…僕、女の子のパンツ穿きたいんだ…」
心臓がバクバクと高鳴る中、とうとう言い切った。
「…お母さんね、知ってたよ。今日だって穿いてるんでしょ?」
「え?」
「それくらい判るよ。優の最近の様子見てたらさ。まあ、深くは聞かないけど。」
母親は気づいていたのだ。
確かに、洗濯機を使うことが出来ないから、風呂場で洗ったり、怪しい行動があったわけでそれに気づかれていたようだ。
母親は立ち上がり、押入れを開け、なにやら袋を取り出してきた。