赤-6
「茜さんはOL?」
「うん」
「土日が休み?」
「そう」
「じゃぁ、明日の土曜日にデートしてよ」
会社の。
大人が食事に誘うようなスマートな誘いではなくて
あくまでストレートに。
私の目を見て笑いながら、誘うその正直さに圧倒される。
たった4つしか違わないはずなのに。
学生という立場か?彼を自由にさせる。
「デート?」
「そう。デート」
「強引なのね」
少し、上から目線でそんなことを言えば
「そう?デートに誘った事がないから、どんなふうに誘えばいいのか分からないな」
なんて真顔で考える。
ハタチの・・・・
こんな可愛い。ううん。違うな。
確かに可愛いんだけど
男っぽさが出始めてきたというか。
丁度思春期から抜け出し始めたオトコになり始めた青年が
デートに誘うのが初めてなんて。
あ・・・ぁ。そうか
「女の子には苦労しないの?」
引く手あまたなんだ。
そう意地悪く笑えば、そんないやみは通じていないようで
「ん?デート自体人生で初めて」
なんて嬉しそうに笑った。
初めて・・・?
その驚きの中で
私は明日の約束をしていた。