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虹色の楽譜
【女性向け 官能小説】

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-3


数日後。どうしてもあの音が気になって
レストランに来てしまった。

ドアをそっと開けると
静かにボーイが近付いてきて。
「ご予約は?」
と聞く。当り前よね。ここは完全予約制だ。

軽く首を振ると
「お客様、申し訳ございませんが当店は完全予約となっております」
と、小さな声で言ったけど。
もらった名刺を見せると
ほんの少し。そう。気がつかない程度に私の顔をみて
「こちらへ」
と、ピアノの前へ案内してくれた。

すでに弾き始めていたその音は、この前の音と何の遜色もなく
私の耳にすんなり入ってきた。

「また、音を支配してる」

数曲弾いた後にピアノの照明が落とされると
軽く会釈をした彼は壇上を降りて目の前の私の席に座った。

「来てくれないのかと思った」

そう言って近くのボーイにシャブリを頼んだ。
ピアノの演奏が終わってさっきより明るくなった店内で
近くで彼を見れば、思った以上に若い。

怪訝そうな顔をしてみる私に
「お酒は飲める年齢だよ」
と、苦笑いした。

「いくつ?」
それでも確かめずにはいられなくて
じっと目を見て聞いてみれば
「ハタチ」と
小さく笑った。



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