調教士として(25)-1
ナディーカに案内されたのは、人が立ち入るのは稀なことで、もちろん六人では彼女以外入るのは初めて、という、広大な地下エリアだった。立体的で複雑な回廊を長く歩かされたが、この世界の知識を多く持たないあなたにとっても刺激的な、見たこともないような独特な美的センスに溢れていた。
天井の高い多柱式の回廊や丸天井の
隣のジェニファーは、何がそんなに感心できるのか、わからないようだった。ルリアがそんな彼女の様子に気がついて、
「ほら、たとえばあの円柱――。先古期アテルマ様式に、よく似ているだろう?」
と振っていたが、ジェニファーは怪訝な面持ちで首を傾げるだけだった。ナディーカが口を開いた。
「難しいですわよ、そのお話は‥‥。しかし、それをご存知とは、さすがですこと――‥‥ちょ、ちょっと?」
ルリアは、そのナディーカに、
「素晴らしい‥‥。ここをこの目で見る日が来ようとは‥‥。――ありがとう!」
と、感激した面持ちでナディーカに抱きついたのだった。さらに、愛情表現なのか、その豊かな胸に
その奥の間には、地球で言うアルファベット以外の文字もあった。また、壁画などという物があるのを見る限りでは、この世界は、あなたの世界から一直線に文明が発達してきたわけではないようでもあった。明らかに猫とわかる頭部を持つ、変わった外観の濃茶の女神像もあった。「Bastet」と飾り文字でその台座に刻まれているのが、あなたにも読めた。
この世界のことをもっとよく知りたいという思いを、あなたは自分の内に感じていた‥‥。
条約の調印式の場で、あなたは驚かされることになった。女たちも驚いていた。驚いていなかったのは、事前に知らされていたらしい、妹のリリアのみだった。
国璽の押印式とは逆に、スガーニーの代表、つまりナディーカ姫が先に調印したのだが、ルリアはオイオの代表として、四つん這い歩きで出てきたのだ。全裸である。しかも、下半身のその局所には、大きなバイブレーターが二本刺さっていた。二本、つまりその姿勢の上と下の両穴に、一本ずつ。
多少距離があるため、音まではよく聞こえなかったが、ルリアの局所を濡らしているぬらぬらした液体を見ると、それらは稼動しているようだった。女戦士はそれらバイブに攻められつつ、ユサユサ、ユサユサとその巨乳をいやらしく揺らして、調印の卓までハイハイしていった。これでもかという数の追尾カメラが、競うようにして、その乳房や局所、苦悶に震える女戦士の染まった顔を狙って、動いていった。木星圏中に、この淫辱の姿が、生中継されているはずであった。
これが、国璽押印式への返答、敗北させられたスガーニーの人々の気持ちを少しでも和らげようというデモンストレーションだとはあなたにも理解できたが、女戦士の度量と覚悟を目にしたようで、あらためて感服する思いであった。
あなたの傍らでは、感極まったミドリが泣いていた。そして、向こうのほうでは、ナディーカ姫が、やはり泣いているらしく、ハンケチに顔を埋めていた。
ノーマル溶液および二・四は、宇宙廃棄された。あなたが拠り所にしていたそれらは、ナディーカの催淫剤Yシリーズと同じ方式で木星へ向けて射出され、空間へ消えていった。
そして、オイオとスガーニーの間には現在は定期便はないのだが、これを機会に就航させたらどうか、という話し合いが、ナディーカとルリアの間で持たれているようであった。