ずん田もち夫、誕生-8
「キャアッ!」
カヨの悲鳴が上がったのと、俺の最後の理性の糸が切れたのはほぼ同時だった。
気が付けば俺はカヨの身体を組み敷いていたのだ。
しかも――。
「こ、このガキ!!」
床に散らばる何かの書類らしきもの。
響き渡る津田の怒声。
――こともあろうか、組み敷いていたのはおっさんのデスクの上だったのだ。
「てめえ、どこに女を押し倒してやがる!」
津田の胴間声も、辺りのざわめきも耳に入らない。
ただ、カヨの半開きの唇から漏れる吐息と、それを頬杖ついて眺めるおっさんのタバコ臭い吐息だけがやけにリアルだった。
「構わねえ、続けさせろ」
すぐそばにある、ニヤニヤしたままのおっさんの顔。
それすら気にならないくらい、カヨに欲情をしていた。
愛撫をする余裕なんてない。
早く挿れたくてたまらなかった俺は、カヨの両脚を広げると、有無を言わさずシンボルをぶち込んだ。
「あああっ!!」
カヨの美しい眉が淫らに歪む。
「く……」
カヨの中は十分過ぎるほど濡れていて、粘液に塗れながら内部の柔肉が優しくぺニスを呑み込むのだった。
上から見下ろすカヨは本当にいい女だ。
潤んだ瞳が堪らなくて、愛情なんて一切ないはずなのに、俺は何故かカヨに優しくキスをした。
「ん……」
自然とカヨの手も俺の背中にまわり、柔らかい胸が潰れるほどきつく抱き合った。
そして、髪をとかしてやりながら、ゆっくり俺達は絶頂へ向かい始めた。
おっさんのにやけた視線を浴びながら、なぜ俺にカヨとセックスをさせたのかわからないまま。
もし、この頃の俺がおっさんの意図を知っていたら、この場でカヨを抱かなかっただろうか。
「ん……ああっ……! いいっ……!」
――否。
きっと俺の運命は、あのレクサスに乗り込んだ時から決まっていたんだろう。
AV業界に堕ちて、金を稼ぐこと。
いわばこれは、採用試験のようなものだったのだ。
そうとも知らずに俺は、仰け反るカヨの細い腰を掴んでは、無我夢中で自らの欲望を彼女にぶつけていた――。